料理や飲み物は作りたてが最も美味しく、時間が経つにつれて味が落ちていくもの。だが、その常識が当てはまらないのがワインだ。
ワインを寝かせておくと、より美味しくなるというのは周知の事実だ。だが、何でもただ寝かせておけば美味しくなるというものではない。今回は、上手なタイミングでワインを味わうためのポイントをご紹介しよう。
1.基本はフルボディの赤
白ワインや、ボジョレ・ヌーボーのようなライトな味わいの赤ワインは、フレッシュさを楽しむものなので早く飲んでしまっていい。ただし、クリュ・ボジョレといった上質なヌーボーは、1~2年熟成させると更に味が向上する。
白ワインも高級品になると、熟成に向いたものがある。それでも、同等の赤ワインより早く飲むべきだが、甘口の貴腐ワインには例外的に赤よりも熟成するものがある。

2.熟成に向いたタイプとは
大雑把に言って、アルコール度が高めのもの、フルボディ(=コクがあって渋い)のもの、そしてポテンシャルの高いもの(=高級品)ほど、熟成して美味しくなることが期待できる。ボルドーやローヌの逸品だと、20年を超えて熟成するものもある。

3.普通のワインは、すぐ飲んでも構わない
造り手は、味が安定するまで樽で熟成させてから市場に出すので、発売したてのワインをすぐ飲んでも別に構わない。ただ、高級なフルボディの赤は、若いうちに開けてしまうと渋さが目立ち、本来のポテンシャルを味わえないことが多いので、熟成させないともったいないのだ。

4.ハズレ年の方が美味しい場合も
天候に恵まれた年のブドウで造られたワインほど、味のピークは遅くなる傾向がある。(同時に値段も高くなる。)そういうワインを若いうちに開けてしまうくらいなら、ハズレ年でも飲み頃に達しているワインを選んだ方が、安くて美味しい
醸造技術の進歩は目覚ましく、最近はハズレ年でもそれなりに美味しいワインに仕上げることができる。今世紀のハズレ年のワインは、20年前の当たり年のワインと同レベルと言われるほどだ。

5.熟成は7年まで
一部の高級ワインを除けば、フルボディの赤でも10年を超えて熟成するものは少ない。一般的に味のピークは5年~7年くらいまでで、それを過ぎたら次第に味わいは低下していくと思っていい。
もっとも、古酒マニアと言われる人たちには、ピークを過ぎたワインの味わいに魅力を感じる人もいるので、個人の嗜好にもよるが…

6.保管はセラーで
ワインを保管する場合、ちゃんとしたワインセラーに入れなければ、熟成どころか劣化してしまう。ワインは、振動、日光、温度、湿度、異臭…といった変化にデリケートなのだ。
どうしてもセラーが用意できない家庭なら、1に地下収納庫、2に押し入れ、3に冷蔵庫の野菜室を使おう。いずれも新聞紙で包み、なるべく乾燥を防ぐようにする。それでも、冷蔵庫では短期保存(1ヶ月くらいまで)に留めたい。差し支えなければ、水を入れたコップを一緒に置いておくのもいい。

7.ワイン以外のお酒は
日本酒でも、上質なものは熟成で味わい深くなる。神楽坂の「酒 たまねぎや」、東中野の「大政小政」、品川の「酒茶論」など、日本酒の熟成を追求している店もある。個人でも、古川修氏のように独自の熟成法を実践している強者もいる。
蒸留酒の場合は、樽でこそ熟成するが、瓶詰めされたらもう変化しない。だから、ウィスキーやブランデーをいくら寝かせても味は向上しないので、さっさと飲んでしまった方がいい