「大晦日は、やっぱり年越し蕎麦!」と決めている人は多いだろう。自分も毎年、大晦日は蕎麦屋で過ごすのが常だ。
酒飲みにとって蕎麦屋の楽しみは、蕎麦よりむしろ蕎麦前かもしれない。そんな人にオススメしたい、酒と肴を存分に楽しめる蕎麦屋が、神田の「(あまね)」だ。

場所は、JR神田駅の西口を出て左に進み、六差路の信号を「楽和 きら天」右側の道へ曲がって、最初の角を左折。焼鳥「秋吉」の正面の路地を右に折れると、4軒目の左側にある。
神田・周_外観引戸を開けて入ると、左側に蕎麦打ち台とキッチン・カウンターがあり、奥のフロアへと続いている。間口が狭いためカウンターの向かいに席は無く、突き当たり側に4席がある。フロアにも、4人用テーブルが1卓と、2人用テーブルが2卓あるのみだ。
椅子もテーブルも黒が基調で、照明も抑えめ。BGMにはジャズが流れ、蕎麦屋というより今風の小さな居酒屋といった雰囲気だ。カウンター上には、日本酒とワインがずらり並べられ、それぞれ値段も書かれている

開店は2007年4月。若いが上野藪そばで10年以上修業したという店主と、サービスを担当する女性の2人で切り盛りされている。
蕎麦には醸造酒が合うと信じる店主は、店に蒸留酒(焼酎など)を一切置いていない。その分、日本酒のセレクトは秀逸で、銘酒居酒屋にも見劣りしない地酒が30種近く置いてある。本醸造酒も少しあるが、ほとんどは純米、吟醸、純米吟醸で、無濾過生原酒や古酒も多い。

訪れた日にあったのは、澤屋まつもと(700円)、鶴の友(750円)、喜一郎の酒、豊杯、山和、富久長、黒龍「垂れ口」、澤の花、庭のうぐいす、若波、雪の芽舎・山廃、昇龍蓬莱(以上、各800円)、石鎚・糟搾り、村祐、飛露喜、喜久酔、鷹来屋、萩の鶴・瓶囲い、明鏡止水(以上、各850円)、王緑、出雲富士、山形正宗、大七・生もと限定酒、瀧自慢(以上、各900円)、國香・純米吟醸古酒(1,000円)…等。

メニューには、銘柄の特徴やオススメの温度帯などが書かれているが、やや詳し過ぎる気もするので、店主に聞いた方が手っとり早いかもしれない。酒器は徳利と杯で、その都度異なるデザインに変えてくれる。
メニューにはないプレミアム日本酒もあるが、それらは四合瓶での提供になるため、祝宴用と思った方が良さそうだ。(価格も万単位

ビールは、ハートランドの生(650円)。ワインは、国産のグレイス甲州やロワールのヴーヴレなど、白を中心とした自然派ワインが15種類ほどあって、ボトル3,800~6,000円だった。

肴はすべて日替わりで、壁の黒板に書き出されている。24品程度とそう多くないが、どれも丁寧に作られている。
いぶりがっこ(500円)、コンニャクの蕎麦味噌がけ(600円)、サバの味噌煮(650円)、鶏わさ(750円)、天然カンパチのお造り(800円)、舞茸の天ぷら(各800円)、揚げ出し豆腐のキノコあんかけ(850円)、カキのてんぷら(各950円)、冷たいポークコンフィ冷しトマト添え(950円)、鶏とネギ焼き(950円)…など、酒の肴として魅力的な料理ばかりで、不足は感じない

肴に比べると、蕎麦は意外とシンプル。同じ神田の「眠庵」のように、蕎麦本来の香りと味が強く主張することもなく、控えめにまとまっている。蕎麦粉は全国のさまざまな産地から仕入れているらしく、その日の産地が黒板に書かれている。薬味は安曇野の本山葵。

冷たい蕎麦は、もり蕎麦(750円)、辛味大根蕎麦(900円)、梅汁蕎麦(1,000円)の3種類。温かい蕎麦は、かけそば(800円)、月見蕎麦(1,000円)、卵とじ蕎麦(1,000円)、鴨南蛮蕎麦(1,300円)の4種類。大盛りはそれぞれ+250円だ。

難点は、声の大きい客や、喫煙客がいると、店が狭いだけに避けようがないところ。また、店内は写真撮影禁止となっている。
大晦日は午後10時までだが、蕎麦が切れた場合は、早仕舞いの可能性もあるそうだ。

→蕎麦 周