「ブックオフ」の創業者だった坂本孝さんが、バリュークリエイト(株)を起こして飲食業に参入したのは、2009年 11月。一流シェフを起用した立ち食いチェーン、「俺のイタリアン」と「俺のフレンチ」で話題をさらい、外食業界の価格破壊と呼ばれた。

その坂本さんが、次に狙いを定めたのが和食だ。2012年1月、「銀座 しまだ」をオープンするや、こちらも行列のできる立ち食い割烹として、様々なメディアで取り上げられた。
料理長の島田博司さんは、京都の老舗割烹やラッフルズホテル系列、ミシュラン3つ星の「麻布 幸村」などで、20年以上の修業を重ねた料理人だ。

店の場所は、外堀通りを数寄屋橋方面から銀座8丁目へ向かい、リクルートGINZA8ビル手前の信号を右折、すぐ右手の路地を入って左側4軒目だ。
銀座しまだ_外観上品な和風のたたずまいの入口を入ると、すぐ左側に4人座れるテーブルが1卓あり、あとはカギ型の立ち飲みカウンター。一番奥にトイレがある。
テーブル席は予約できるが、立ち飲みは予約できないし、人数も10人までに限られるので、開店前から行列ができる。

島田さんは奥の厨房で料理に専念しており、カウンター内は2名の男性スタッフが守っている。料理は日替わりで、メニューの書かれた黒板を入店順に回覧して、料理をオーダーしていくしくみだ。

料理は500円から40品以上あって、もちろん美味しい。勝どきの「かねます」や、北千住の徳多和良」と比べると、料理もお酒も充実している

500円のメニューは、フィッシュカツ、ポテトサラダ、にしん、からすみ、サザエ壺焼…など19品。800円では、牛すじと大根煮、さば寿司、鴨ロースと下仁田ネギの和えもの…など9品。そのほか、さわら幽庵みそ焼き(1,000円)、カキグラタン、フグの唐揚げ、鴨鍋(各1,200円)、車海老と百合根のかきあげ、ズワイガニコロッケ(各1,400円)、からすみそば、伊勢海老のジュレ(各1,600円)、白子バター焼き、うにそば(各1,800円)などがあり、ばちこ(ナマコの卵巣を干した珍味)が2.500円だった。

「からすみそば」が特に有名だが、自分は「うにそば」の方が好みだった。伊勢海老のジュレにもウニが入っていて、価格だけの価値はある。ズワイガニコロッケもサクサクしていて和風の趣だ。
食事に比べてお酒の種類が少ないの残念だが、セレクトはなかなかいい。

銀座しまだ_店内メニューにあるのは、サッポロ黒ラベル樽生(小400円・中500円)、芋焼酎の一刻者(500円)、麦焼酎の知心剣(500円)、日本酒は黒松白鹿・超特選(600円)、あとは「白州」か「山崎」のハイボール(各700円)、梅原酒の白加賀(500円)、それに白・赤のグラスワイン(900円)といったところ。
日替わりのお酒はメニューに書かれていないので、聞いてみるといいだろう。昨日は、賀茂泉大七・純米生もと(各800円)があったので、自分は大七をいただいた。

ボトルワインは、ドメーヌ・ジャクソンのブルゴーニュ・アリゴテとブルゴーニュ・ピノノワール(各5,000円)、ニュートン・アンフィルタード(ナパヴァレー)のシャルドネとメルロー(各8,000円)があり、シャンパンは、ヴーヴ・クリコのイエローラベル(ハーフ5,000円)、アンリオのブリュット・スーヴェラン(8,000円、ハーフ4,500円)、ルイナールのブラン・ド・ブラン(12,000円)の3種類があった。
「俺の~」ほどではないが、値付けはかなり安い。元々コスト・パフォーマンスの高い銘柄が、原価の2倍に満たない価格で飲めるのだから、お得感は充分にある

テーブル席の利用は1時間50分までで、17時/19時/21時の入れ替わり制。座れるのは楽だが、カウンター内のスタッフと料理やお酒の受け渡しに立たなければならないため、そこは少し面倒だ。19時~21時は、1ヶ月以上先まで予約が埋まっているらしい

バリュークリエイトでは、2012年7月に高級日本料理店の「銀座 おかもと」もオープンした。こちらは、ミシュラン2つ星の京都「和久傳」と、3つ星の東京「麻布幸村」で料理長を務めた岡本英嗣さんを料理長に迎え、早くも同社初の2つ星に輝いた。(「ミシュランガイド東京・横浜・湘南 2013」)

さらに2013年には、「しまだ」を大規模にしたような立ち食い高級和食「俺の割烹」をオープンさせるそうで、こちらの総料理長も島田さんが務める予定だ。
世界初となる星付きの立ち飲み屋を目指したいという島田さん。その料理を安く楽しめるのだから、多少の行列は仕方ないかもしれない。

→東京カレンダー/銀座しまだ