接客業に就く人が、最初に教えられるのが「おもてなしの心」ではないだろうか。だが、日々の業務の中では、忙しさもあり、嫌な客もあり、なかなかそうしたモチベーションを持ち続けるのは難しいのが現実かもしれない
それだけに、そんな言葉を店名にしてしまうのは、ちょっと勇気が要る気がする。

新宿御苑の近くにある居酒屋「こころむすび」は、「心と心を結ぶ」という意味から名付けられた店名だ。こんな名前を付けられると、逆に胡散臭く思う人もいそうだが、この店は名に恥じないホスピタリティの高さで評判になっている。加えて、日本酒文化を応援する姿勢も相当なものだ。
こころむすび_外観店は、地下鉄丸ノ内線「新宿御苑」駅の1番出口を出たら、新宿通りを向こう側へ渡り、「ファミリーマート」の2軒先を左に折れた角にある。時間と体力があれば、新宿から歩いて行くことも可能だ。自分は西新宿から歩いたが、それほど遠いとは感じなかった。

ちょっとレトロな雰囲気もある小さな和風居酒屋だが、軒先の杉玉が日本酒へのこだわりを感じさせる。
店に入ると、右手に6席のカウンターがあり、左側に4人用テーブルが3卓ある。壁には蔵の前掛けなどが飾られ、奥の黒板にその日の日替わり料理が書かれている
店主は利き酒師の資格を持つ石田洋司さんで、ほかにスタッフとして3名ほどの男女がいる。

常備された日本酒は50種以上で、ほぼ通年飲める銘柄と、日替わり銘柄とがある。基本は120mlのグラスだが、1合や2合で注文することも可能だ。価格は120mlで580円から、2,000円の逸品まである。

銘柄をいくつか挙げると、八海山・本醸造(580円)、鯉川・特別純米(580円)、ダルマ正宗・平成23年特別ブレンド(600円)、田酒・特別純米(680円)、而今・特別純米濁り生(680円)、三芳菊・純米吟醸生原酒(680円)、鍋島New Moon・純米吟醸生原酒(680円)、飛露喜・特別純米生(720円)、死神・純米(720円)、小笹屋竹鶴・純米生原酒(780円)、生もとのどぶ(780円)、神亀・ひこ孫(800円)、丈径・純米生原酒(980円)、おんな泣かせ・純米大吟醸(980円)、悦凱陣・純米吟醸生(1,150円)、獺祭・磨き三割九分(1,300円)…など、かなりの地酒通をも満足させるお見事なラインナップ

ビールも、限られた飲食店でしか味わえないガージェリービール(グラス780円)や、サッポロラガービール(650円)が置いてあり、日本酒ほどではないが焼酎も揃っている

こころむすび_店内料理では、石田さんが毎日築地で仕入れている鮮魚と、炭火で焼き上げた干物、それに、かまどで炊いた福島産コシヒカリのご飯が自慢だ。

自家製コロッケ(1個250円)、銀むす(各290円)、かつおの酒盗(380円)、卵かけご飯(420円)、大人のポテトサラダ(480円)、牛スジのとろとろ煮込み(580円)、豆酩(豆腐の味噌漬け・580円)、獺祭の酒粕クリームチーズ和え(580円)、だし巻き玉子(640円)、若鶏の唐揚げ(680円)、鯖のいしる漬け(700円)、メカジキのトロステーキ(780円)、関サバの一夜干し(1,100円)、あら一夜干し(1,300円)、のどぐろ開き(小880円~大3,000円)…等々、飲ん兵衛心をわしづかみにする肴が楽しめる

のど黒のしゃぶしゃぶ、クエやキンキの刺身、天然アユ、鱧、フグの白子、自家製からすみ…など、なかなか口にできないような魚料理も、運が良ければ食べられるからこたえられない

また、店では売り上げの1%を東日本大震災の復興支援に寄付しているそうだ。更に、東北のお酒1杯につき100円を義援金に充て、被災した酒蔵に直接手渡すという活動もしている。

応援したくなる店というのは、こんな店を言うのに違いない
人気がある店なので、訪れる際は予約した方がいい。

→銀しゃりとひもの炭火焼 こころむすび