日本情緒にあふれる根津界隈はお気に入りのエリアで、街を歩いているだけでも楽しくなってくる。
日本酒の美味しい店もいくつかあるが、中でも際立っているのが、小さな日本酒BAR「(よろこび)」だ。

場所は、地下鉄千代田線「根津」駅の1番出口(西日暮里寄り)を出て、不忍通りを千駄木方面へまっすぐ進み、「根津神社入口」バス停を過ぎると、すぐ右側にある。駅からは300mほどだろうか。

格子戸には「慶」と一文字染め抜かれた白い暖簾が掛けられており、間口は狭いながらも和を感じさせるたたずまい。格子戸を開けて中に入ると、右側の「くの字」型カウンターに6席のみという店だ。
根津・慶_外観この店は、言問通りの向こう側にあるうどん店、「釜竹」が、2011年11月9日に出店した姉妹店。
「釜竹」は、美しい庭を眺めながら手打ちうどんが味わえる蔵造りの店で、店長の平岡良浩さんは利き酒師の資格を持っている。それだけに上質のお酒を揃えていることで知られていたが、もっと日本酒に特化した店をやりたくて、この「慶」を出店したらしい。

「慶」は日本酒BARなので料理は限られているが、店を切り盛りする若女将、富田知(とも)さんの努力もあって、着実にファンを増やしている。
着物に割烹着姿が似合う富田さんだが、実は女将になる前はバリバリのキャリアウーマンで、日本酒と関わりが深いわけでもなかった。女将を任されることになってから日本酒について猛勉強し、今ではすっかり酒好きたちの信頼を得るまでになった。

店には常時30~40種類の日本酒があり、その半分近くは、随時入れ替えられる。
巻紙に書かれたお酒のメニューには、お燗向き(または常温)の銘柄と、冷やで飲める銘柄とが上下に分けて記されている。価格はいずれも冷やか常温の場合で、量はシャンパングラスに半合。お燗は1合徳利で供されるため、価格は倍になる。

銘柄の例を挙げると、西條鶴・純米生(550円)、澤屋松本・山廃純米(550円)、屋守(おくのかみ)・純米(600円)、東洋美人・純米吟醸(600円)、新政「やまユ」純米吟醸(600円)、磯自慢・特別純米(600円)、鍋島・特別純米(600円)、王禄・純米(600円)、奥播磨・黒ラベル純米吟醸(650円)、飛露喜・特別純米(700円)、十四代・本醸造(800円)、黒龍・純米吟醸(800円)、鄙願(ひがん)・純米大吟醸(1,200円)、田酒・純米大吟醸(1,300円)、義侠「慶」純米大吟醸(1,500円)…などがある。

焼酎も多くないが厳選された銘柄が置いてあるし、通好みのラム「キャプテン・モルガン」がポツンとあったりして、なかなか面白い品揃えだ
ビールは小瓶のエビス(600円)とアサヒ(550円)があり、生は扱っていない。

根津・慶_カウンター料理は軽い肴が20品ほどで、こちらも日替わりになる。海のかりんとう(各300円)、冷奴(400円)、酒盗&クリームチーズ(400円)、野菜スティック(450円)、ポテトサラダ(450円)、さつま揚げ(各種450円)、焼おにぎり(各種500円)、冷やしぶっかけうどん(500円)、あおりいかの網焼き(600円)、筑前煮(600円)、すき煮(600円)、小宝和え(=鱈の卵の塩漬け・700円)…など、凝ったものではないが、どれも家庭的な美味しさがある。お通しは500円。

席数が少ないので、訪れる際は1人か2人がいい。
それ以上なら、34席ある「釜竹」の方へ足を運ぶことをおすすめする。ゆったりしたスペースで料理を楽しめるのはもちろん、日本酒が約25種類、ワインも「ドメーヌ・ファブリス・ヴィゴ」(7,500円)をはじめとした9種類が揃っている。
なお、先週「釜竹」の近くに同じく姉妹店のショットバー「くるみ」もオープンし、より楽しみが広がった。

→慶(よろこび)
→釜竹