佐藤誠_外観今でこそ海外でも飲まれるようになった「吟醸酒」だが、30年ほど前までは日本でもほとんど知られていなかった。バブル景気に沸いていた80年代に「高級な日本酒」として次第に広まり、その美味しさがブームを呼んで、一躍知られるようになったのだ。
88年~91年に漫画誌「モーニング」に連載された『夏子の酒』(尾瀬あきら)の影響も大きかったかもしれない。

ところが、そのずっと前から吟醸酒の美味しさを喧伝し、吟醸酒ブームの仕掛け人とも言われたのが、建築家の篠田次郎さんだ。全国50箇所の酒蔵を設計した縁から吟醸酒に魅せられ、「幻の日本酒を飲む会」を主催。1975年12月3日~2000年11月までの25年間に、328回を開催して多くの吟醸酒マニアを輩出、本業より日本酒研究家として知られるようになった。

この会で篠田さんから日本酒の奥深さを学んだ1人が佐藤誠さんだ。元々、1877年創業の老舗酒問屋・太田商店で働いていたのだが、そこを退職して50歳で銘酒居酒屋「喜々酒屋 佐藤誠」を開業した。
場所は、蕨の西口駅前のアーケード街を右手へ100mほど入った、陸橋の手前右側にある。
佐藤誠の日本酒店内は、右側の壁に沿って4人掛けのテーブル4卓が並んでいるのみ。左側は日本酒の冷蔵庫とサービスカウンターになっていて、席はない。
壁には酒蔵の前掛けやメニューの短冊などがディスプレイされているが、圧巻は突き当たりの壁。その日の日本酒の銘柄が書かれた短冊が50枚以上びっしりと貼られている。(瓶が空いたものから外されていく。)

純米、純米吟醸、純米大吟醸の無濾過生原酒を中心に取り揃えられており、日本酒はグラス(タンブラー)に表面張力まで使って注いでくれる。量は約100mlということだったが、120mlくらいありそうに見えた。
価格は、1杯450円~980円くらいで、600円~700円あたりがボリュームゾーン。たまに千円以上というのもあるが、数は少ない。
入手困難な銘柄も多く、上質なお酒ばかりなので、この価格なら良心的な値付けだ

銘柄はすべて日替わりだが、一例を挙げると、花菱・純米無濾過中取り生(450円)、磯自慢・特別本醸造(500円)、一白水成・特別純米生詰酒(550円)、秋鹿・純米無濾過生原酒(600円)、而今・純米吟醸五百万石無濾過生酒(650円)、まんさくの花「八八七分壱」・純米吟醸生原酒(700円)、墨廼江・純米吟醸中垂れ生詰酒(750円)、松の寿・純米吟醸無濾過生原酒(800円)…など。
高いものでは、十四代・純米吟醸生詰め酒(980円)、醸し人九平次「別誂」・純米大吟醸(980円)、渡舟・純米吟醸無濾過生詰原酒(1,000円)…といった、滅多にお目に掛かれない飛びきりの美酒も並んでいた。

佐藤誠_店内店主のお任せでしか日本酒を注文できないという口コミもネットで見掛けたが、そんなこともなかった。確かにオススメはされるが、違うものを注文してもちゃんと受けてもらえる。(1回だけ、間違えておススメ銘柄の方を持って来られたことがあったけど。)
もちろん、全ておまかせで持ってきてもらうこともできるし、好みを伝えて銘柄を提案してもらうこともできる。おそらく、佐藤さんとしてはその方が嬉しいのだろう。

あくまで日本酒主体の店だが、焼酎も20種くらい置いてある。ただ、日本酒を飲まないなら、この店に来る意味はほとんどないと言っていい。
食材は築地を巡っておいしいモノを集めてくるらしいが、佐藤さんいわく「料理は素人」だそう。そのため肴の持ち込みは自由という噂もあるが、これは確認していない。

たまに日本酒飲み放題のイベントを開催するのだが、これがスゴい太っ腹<な企画。6千円の会費で、店にあるすべてのお酒(日本酒以外も含む)が時間無制限で飲み放題になる。料理もいろいろ付くし、土曜日なので開店時間も早くなるらしい。
当然だが、予約推奨、泥酔注意!次回は今度の土曜日(28日)と聞いている。

→喜々酒屋 佐藤誠
TEL:048-441-7603
住所:埼玉県蕨市中央1丁目32-4
営業時間:18:00~翌1:30(ラストオーダー1:00)、不定休