朝酒・昼酒と聞くと、あまりいいイメージがないのが普通だ。実際、アルコール依存症の診断テスト(KAST・男性版)にも、チェックリスト10項目の中に「朝酒や昼酒」というのがしっかり入っている。

だが、洋食ならランチにワインを添える人は珍しくないし、特に欧米ではそれが習慣という土地柄も多い。日本酒はワインより少し度数は高いが、静かに嗜めるのなら昼酒も大人の楽しみとして許されるのではないだろうか。

かくいう自分は、あまり明るいうちから飲む方ではないのだが、それでもたまに老舗の和食屋でいい日本酒を見つけてしてしまうと、さすがに黄昏時を待つ気が失せてしまう
そんな大人の楽しみを愛する方々にオススメしたい、小さなBARが池袋の「」だ。
楽_外観場所は、東武百貨店・地下1階の酒売場の端。フロアの一番はずれ(11番街)にあるので、よく足を運ぶ人でもなかなか気付かないような立地だ。
横長の店内は、カウンター10席のみ。お酒のボトルはほとんど並べられていない。おそらくほかの買物客に配慮しているのだろう。奥の方は外から見えないので、気になる人は右奥に座るといい。予約もできるが、小さな店なので4人までとなる。

オーナーは日本酒プロデューサーの上杉孝久さんで、1990年頃に開店して以来、造り手・売り手・飲み手をつなぐアンテナショップ的な役割を果たしてきた。当初は「日本一早く開店し、世界一早く閉店するBAR」としてメディアにも採り上げられたようだ。
現在は、店長の笛木亮さんを中心に、時間帯や曜日によってスタッフを増減している。
笛木店長は、優しい顔に似合わず1年ほど前までプロボクサーとして活躍しながら、「エノテカピンキオーリ」やこの店で修業を重ね、昨年ボクサーを引退してから店長に就いたらしい。

営業時間は朝10時~21時(日・祝は20時)で、その間はフルタイムでお酒が飲める
ただし、まともな肴を出せるのは11時以降で、16時まではランチタイムのため、魚を中心とした9種類ほどの定食が主力となっている。(いずれもご飯、赤だし味噌汁、自家製ぬか漬付きで、945円~1,785円)
16時以降は定食がなくなる分、肴や一品料理が充実する。

お酒は、ビール、日本酒、ワインがメイン。日本酒は5種類を定番として常備するほか、約10種類が日替わりで用意される。瓶が空いた銘柄は、順にメニューからはずされるシステムだ。生ビールはヱビスで、ワインは赤白それぞれが日替わりで3種類ずつ、焼酎も10種類あり、わずかながらウィスキーやリキュールも揃えている。

日本酒は切子グラスで提供されるので、女性でも似合いそう。量は60mlと120mlのどちらかを選べる。
定番の銘柄は、白龍「楽 85」純米無濾過生原酒(60mlで368円/120mlで735円)、立山・吟醸(420円/840円)、雁木「ひとつ火」純米(399円/798円)、宗玄「純粋無垢」特別純米(368円/735円)、白馬錦「とどろき」純米(368円/735円)の5つ。
「楽 85」は福井の吉田酒造に発注している店のオリジナル・ラベルで、精米歩合85%という濃醇な日本酒。東武百貨店の限定酒で、隣の売場で購入もできる。

楽_店内日替わりの中には60mlで500円を超えるものもあるが、量を抑えて上質なものを手頃に提供するというのが基本姿勢だ。
燗向きのお酒も意図的に揃えているようで、なんと60mlからお燗を付けてくれる。グラスでは少量から対応するお店でも、お燗は1合からが普通なので、これは有り難い。もっとも、量が少ないと冷めやすいことは、承知しておいてほしいが。

バーとしては、意外に料理も充実している。三之助豆腐の奴(420円)、たたみ鰯(525円)、山形寿屋・無添加漬物の盛り合わせ(630円)、無添加ポークレバーペースト(735円)、鯵の梅たたき(893円)、中とろ鮪漬け山かけ(945円)、かつお土佐造り(1,050円~)、楽流・昆布〆鯛茶漬(1,260円)、黒毛和牛サーロイン網焼(3,150円)…など、幅広い。

日本酒を学ぶイベントも不定期に開催していて、今月の「江戸料理と獺祭の会」は満席。毎週金曜には、特定銘柄3種の飲み比べなども企画する。
余談だが、来週3月1日は笛木店長28歳の誕生日だとか。

→東武百貨店:バー 楽