家族で営む居酒屋というのは、地方都市では特に多い。大抵は旦那さんが調理を、奥さんがサービスを担当し、時には息子さんや娘さんがそれを手伝うというパターンだ。
中には、息子さんが畑違いの店に修行に出て、戻って来てから独立するケースもある。

川口にある「酒場 わたなべ」は、親父さんが屋台、長男がソムリエ、次男が和食の料理人という、それぞれ異なる修業を経て、3人で2010年2月に立ち上げた居酒屋だ。
場所は、川口駅東口から産業道路沿いに北上し、幸町小学校西の交差点を過ぎて、右側3軒目の地下にある。
わたなべ_入口階段を降りると、ガラス張りのドアの内側に小さな三和土があり、店内は板の間。
右側に4人用の座卓が4卓、左側には白いテーブルが3卓並んでおり、突き当たりのカウンターにも椅子が5席ある。

親父さんと弟さんは、カウンターの中で専ら調理に当たり、お酒とサービスはお兄さんが担当している。ご兄弟はタイプこそ違うが、どちらもイケメンと言って差し支えあるまい。

この店の特徴は、個人店ながら豊富なメニューと、高いコストパフォーマンスにある。特にお酒の品揃えは、かなりのものだ。

日本酒は4種類と少ないが、これは1週間で4升という現在の消費ペースに沿ったもの。銘柄は3種類が常に入れ替わり、残りの1種類は「而今」か「鍋島」と決まっている。値段は120mlで500円。
約50%の確率とは言え、「而今」が定期的に入荷する店は都心にも少ない。しかも500円という価格…これだけで通う価値は十分だ。
今週あった他の銘柄は、「扶桑鶴」「ゆきの美人」「開運」の3つ。すべてお燗にも対応する。

焼酎は35種類。「富乃宝山」、「伊佐美」、「赤霧島」、「佐藤」の黒、紫の「赤兎馬」…なども含め、ほとんどが350円だ。プレミアム焼酎はやや量が少なめになるが、それでも「百年の孤独」が500円、「魔王」で650円というのは、ほとんどありえない価格だと思う。

わたなべ_店内ワインは、グラス売りがないのが残念だが、ボトルは白7種類、赤6種類、泡(カバ)が1種類で、2,100円~3,800円というお手頃価格。
こちらも値段の割に美味しいものがラインナップされている。
意外によく出るのが果実酒(全て480円)で、梅酒はもとより、みかんやシークワーサーまで揃えてある。特に人気があるのが、鳳凰美田のゆず酒と、完熟桃酒だ。

料理の看板メニューは鮮魚で、金沢港直送のお造りが各種500~800円ほど。盛り合わせは2,000円。
牛すじ煮込み(500円)は、和牛を使った自信の一品だ。ほかにも、手作りコロッケ(1個200円)、鶏皮ポン酢(380円)、餃子(6個450円)、金沢産もみいか(500円)、吉雄流 汁なし坦々麺(650円)、豚ばら肉の塩漬け焼(800円)…と、多彩でおいしい料理が楽しめる。

お兄さんは、お酒やお店の話などに饒舌だが、弟さんは寡黙、親父さんは中間といった感じ。
お店のホームページは無いが、食べログのクチコミ欄では悪評にもすべて返事を書いているのがエラい。
途中下車してでもまた行きたいと思わせる、見逃せないコストパフォーマンスの店だ。

→食べログ:酒場 わたなべ