代々木上原で日本酒の名店というと「笹吟」が有名だが、駅の反対側にある「青」も評判が高い。いずれも出色の日本酒と和食が堪能できる店だが、難点は人気があり過ぎて平日でもなかなか入れないことだ。

華やかな2店に比べると地味な存在だが、美味しい日本酒が飲める小さな居酒屋が近くにある。「青」の100mほど手前にある居酒屋、「さかな 幸(こう)」だ。

場所は、代々木上原駅の北口2出口を出て、すぐ右手の突き当たりからクランク状の道をそのまま進み、深夜0時閉店の升本酒店を左折すると、左側にある。駅からは徒歩2分程度。
さかな幸_外観一見するとカフェのようにも見えるが、屋号の通り、元は魚屋だったそうだ。12年ほど前に娘さんが魚屋の奥で居酒屋を開業し、以来「買う」と「食べる」の両方に対応した店に。親父さんが引退したことから、今年9月からは居酒屋専業となった。

ドアを開けると、店内は奥へと続くカウンター8席のみ。左側の白い壁には縦長の小窓が付いていたり、椅子が籐製だったりで、内装もやはりカフェっぽい
その一方で、カウンターの上の暖簾といい、店主の大久保理江さんの印象といい、家庭的な雰囲気があって寛げる。

もちろん、魚は安くて旨い。今でも目利きの親父さんと一緒に築地で仕入れているそうだ。日替わりメニューは黒板に書き出されるが、お刺身単品で700円台くらい。種類はさほど多くないので、早い時間に注文が重なると売り切れることもあるようだ。

定番メニューは、女将のきまぐれ酒肴3種(950円)、酒盗チーズ(450円)、薬味入りくずし豆腐(550円)、自家干し鮎(650円)、梅うどん(650円)、長芋の明太子チーズ焼き(700円)、豚肉の塩葱炒め(750円)、金・土曜限定のカレー(850円)…など、家庭料理をベースにしながら、軽く創作風味も織り交ぜている。

さかな幸_店内日本酒は常時10種類。時季によって銘柄は変わるが、どっしり系の燗上りするものが多い。これは、女将の好みだが、常連には夏でもお燗というファンもいるそうだ。
今週あったのは、酉与右衛門(よえもん)、宗玄、風の森、開運、長珍、奥播磨、るみ子の酒、旭若松、諏訪泉、十旭日(じゅうじあさひ)の10銘柄。ほとんどが純米無濾過生原酒で、開運と奥播磨のみが火入れだった。酒好きなら膝を叩きたくなる、本物志向のラインナップだ。

この日は、メニューにはない悦凱陣(よろこびがいじん)も入荷していた。いずれも価格が記されていないのが残念だが、値段は750~1000円。8勺ほどの小ぶりの徳利で提供され、ぐい呑みは好きなデザインを選べる。もちろん、お燗はすべてOKだ。

焼酎は、薩摩の薫、れんと、壱岐の3種類で、すべて500円。ビールはサッポロ黒ラベルの中瓶が600円。
基本的には日本酒を楽しむ店なので、男性客も女性客も、日本酒好きが中心。女性客が多いのは、すっきりした店内と、お母さんのような理江さんの醸しだす家庭的な雰囲気ゆえだろう。
人気殺到の店もいいが、少人数ならこの店を覗いてみて損はないはずだ。

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