最近、増えているという“座れる立ち飲み屋”。突っ込んでくれと言わんばかりのキャッチフレーズだが、簡易な座席をいくつか設けた立ち飲み屋がそう呼ばれているらしい。たいていは折りたたみ式の小さな椅子だったり、ビールケースに板を載せただけといった席なので、「ちゃんとした椅子はない」という意味のようだ。

そんな店にうまい酒など置いていないと思うのが普通だが、中にはそんな常識を覆してくれる店もある。神田小川町の「Good One」などが好例だが、高田馬場の立ち飲み「海と(かいと)」もかなり魅力的だ。
海と_外観「海と」の場所は、高田馬場駅の早稲田口を出て、左手のauショップの角を左折し、神田川を越えると右側2軒目にある。駅からは200mほど。

戸が開け放たれた店に入ると、コの字型のカウンターにビールケースを重ねた座席が15席、その左側に2人用と4人用のテーブルが各2卓ずつある。カウンターの奥はオープン・キッチン。
安価なモツ焼き屋をほうふつとさせるような造りだが、側道に面した窓にズラリと一升瓶が並べられていて目を引かれる。カウンター上の黒板には料理名と価格がびっしりと書かれており100品近いメニューがあることが見てとれる。

日本酒と焼酎のメニューは丸めた紙に書かれて席に置かれている。日本酒は10銘柄(500~600円)、焼酎は12銘柄(450円)の記載があるが、奥の冷蔵庫にはメニューにない日本酒も入っていて、全部で20種類ほどあるようだ。冷蔵庫の戸にはメニューにない銘柄が手書きで貼られている。

開店は2008年9月。店主の男性はもっぱら調理専門で、接客は2人の若い女性が担当している。
日本酒は、小皿に載せたグラスに溢れさせて注がれ、量は1杯約140ml。ただの「日本酒」(380円)もあるが、地酒は純米純米吟醸ばかりが揃えられている。

先週あった銘柄は、500円が一の蔵・超辛口、宗玄、田酒あたり。
600円が、翠露・純米吟醸、長珍・純米生原酒、仙禽・生もと純米、山形正宗・秋あがり純米吟醸、開運・ひやづめ純米、東洋美人・純米吟醸、天青・純米吟醸、春霞・純米吟醸、奥播磨・XX(ダブルエックス)純米吟醸、鍋島・ハーベストムーン、悦凱陣、大那、明鏡止水、益荒男、天の酒、早瀬浦、獺祭、義侠「はるか」…など、下手な銘酒居酒屋まっ青の品揃え。

海と_店内豊富な料理は、100円~500円まで色々あるが、ほとんどは300円前後でいただける。
例を挙げると、浅漬けキャベツ(100円)、厚揚げ焼き(150円)、冬瓜コーンあんかけ(200円)、ポテトサラダ(250円)、白子の生姜煮(280円)、焼きそば(300円)、辛ラーメン(350円)、さんまのなめろう(380円)、ユッケ丼(480円)、いちばん高いのが刺身三点盛り(500円)…など。
焼鳥類は、手羽先(250円)を除いて1本150円、串揚げ類は180円だ。

お客の多くはサラリーマンだが、出勤前に毎日のように立ち寄る飲食店勤めの女性も少なくない。メニューの豊富さと安さに加え、スタッフが女性のため入りやすいのだろう。
近くの学生達も、均一居酒屋ではなくこういう店で美味しいお酒を覚えてほしいものだ。

→海と