兼ネル_外観西新宿に、ちょっとユニークな和酒バーがある。青梅街道からちょっと入った裏通りにあるため、目立たない立地なのだが、前を通る人がちらちらと中を伺ったり、立ち止まって店先の立看板を読んだりすることも多い。

そのワケは、全面ガラス戸で中が丸見えにも関わらず、シンプル過ぎて何の店か良く分からないためだろう。
青い日除けには「日本酒 兼ネル」というちょっと変わった店名だけが白く染め抜かれている。

立看板に書かれた案内文が、また人を食っている。日本酒を楽しむ店であることをうたいながらも、「ふつうの居酒屋です。過大な期待はしないでください。」などとトボけた言葉が書かれているのだ
場所は、新宿駅西口から青梅街道へ出て、野村ビル横の信号を右に折れて路地に入り、120mほど歩いた左側にある。

店内は、窓際に4人掛けのテーブルが1つあり、その右側に日本酒がびっしり並べられた大型冷蔵庫が2台。中ほどには7席あるカウンターが奥に向かって真一文字に延びている。一番奥は小上がりになっていて、4人用の座卓が2卓。BGMにJ-WAVEが流れている。

店内は木材と白い壁のインテリアで、居酒屋としてはそっけないと思えるほどすっきりしている。
全面ガラス張りが落ち着かない人もいるかもしれないが、自分は通行人を眺めて、けっこう退屈しなかった

兼ネル_店内開店は、2010年11月11日。店主の伊東利宗さんは荻窪いちべえの出身だから、日本酒についてはお任せできる。

冷蔵庫に並んでいる約140種類の日本酒は、どの銘柄も秀逸なものばかりで、生原酒や袋吊りといったものも多い。メニューにはほんの一部しか書かれていないので、好みの銘柄や味を伊東さんに伝えて選んでもらう客がほどんどだ。

それでいて、ほとんどの日本酒はグラス(100ml)600円という良心価格。開店当初は全て均一だったようだが、現在は800円が8種類ほど、1,200円の“贅沢酒”も2種類ほど加わった。
飲んでる途中からでも燗付けしてもらえるなど、きめ細かいサービスにも対応する
女の子のアルバイトも交代制で入っているが、お酒に関しては原則として伊東さんが担当するようだ。

銘柄は入れ替わるので、ブログで確認した方が間違いない。一部を挙げると、陸奥八仙、よ右衛門、綿屋、遊穂、宗玄、奈良萬、こんな夜に、登水、大那、鳳凰美田、仙禽、屋守、いづみ橋「夏ヤゴ」、天青、磯自慢、正雪、志太泉、長珍、天遊琳、作、而今、風の森、不老泉、小左衛門、黒牛、宝剣、賀茂金秀、蓬莱鶴、亀齢、竹鶴、王祿、十旭日、千代むすび、東洋美人、石鎚、悦凱陣、亀泉、南、土佐しらぎく、東一、東鶴…など、全国の美酒を網羅する勢い
なお、日本酒以外はビールと梅酒しかない。

20種程ある料理も、300円~800円とお手頃。トマトサラダ 玉葱ドレッシング、熊本県もろみ豆腐(300円)、焼きアボカド バター醤油、シマアジの味醂干(500円)、自家製レバーパテ、赤身肉のマリネ焼き (700円)…など、つまみとしてはなかなかの品揃えだ。
お茶漬けくらいはあるものの、ほとんどは軽い肴なので、がっつり食べたい人には向いていない。日替わりでお刺身もあったので、自分にとっては全く問題なかったが…。

一風変わった店名は、歌舞伎用語で立役と女形の両方を得意とするような名役者(三代目 尾上菊五郎など)のことを示す言葉。男女の区別なく良い日本酒を幅広く紹介したいという意味を込めたそうだ。
案内文に反して見事な銘酒を揃えたこのお店。静かに飲める今のうちに、行っておいた方が良さそうだ。

→日本酒 兼ネル(ブログ)