立ち飲みの居酒屋は、値段は安いが、味は期待できないのが普通だ。
だが、何事にも例外はある。新橋の「竜馬」は、味もボリュームも期待以上だし、勝どきの「かねます」や北千住の「徳多和良」などは、下手な料亭顔負けの料理が出て来たりする。

しかし、さすがに全品300円均一となると…ツマミはともかく、美味しいお酒はまず望めない
ところが、そんな条件で健闘しているのが、水道橋の「うけもち」だ。
うけもち_外観「うけもち」の場所は、JR水道橋駅から3分ほどの裏通り。駅の西口を出て、大通りを左に進み、100mほど先の「餃子の王将」を左折。すぐ次の角を右に曲がると、2軒先の右側にある。
これからの季節、店の表で飲んでいる人が目印になるかもしれない。店先に樽が置かれており、そこで飲むこともできるのだ。営業中、普通は入口が開け放されている。

店内は、フロアに立ち飲み用のテーブルが2つ、右側の壁に三角形のミニカウンターが2つ、奥は厨房を囲むカギ型のカウンターになっている。
注文はこのカウンターで行い、現金先払い。酒も肴もすべて300円なので計算は楽だ。

開店は2001年。店名は「受け持ち」ではなく、日本書紀に登場する食べ物の神様「保食神」(うけもちのかみ) から取ったそうだ。
店長の梅津隆之さんは、築地の仲買人を3年務めて魚を選ぶ目を養った。今も築地市場で魚介類を仕入れ、刺身の作り置きはせず、必ず注文が入ってから切り分けている。

お酒は焼酎がメイン。飲み方を告げると、それに合わせたグラスを渡してくれる(ロックなら氷入り、お湯割りならお湯入りなど)。あとは、カウンター右端にある焼酎の中から、好きなものをセルフサービスで注いで飲む。
甕入り焼酎は6種類あり、現在の銘柄は、おやっとさあ(芋)、天盃(麦)、猿川(サルコー/麦)、天領(米)、しな野(蕎麦)、久米仙(泡盛)。

日本酒すべて純米酒で(熱燗に限り本醸造)、開運、出羽鶴、一の蔵、司牡丹、喜平の5種類がある。グラスは下にガラス皿が敷かれ、そこにあふれさせて注いでくれる。
ほかにも、生ビール(中ジョッキ) 、ホッピー、 ハイボール、レモンサワー、グレープフルーツサワー、 すだちサワー、ウーロンハイ…といったお酒があり、ホッピーの「中(なか/焼酎のおかわり)」はなんと100円

うけもち_店内肴は、季節の鮮魚などの日替わり約10品が黒板に書き出される。壁の短冊には定番の珍味系が掲げられていて、かき塩辛、酒盗、生からすみ、にしん切込み、いなご佃煮、ほや塩辛、ふぐ卵巣糠漬、ごま豆腐などがある。料理はできあがると、各テーブルまで運んでもらえる。

春夏は、カウンター脇のサンプルケースに、枝豆や野菜など、すぐに食べられるつまみが並べられている。
秋冬は囲炉裏の七輪を使い、干物を炭火で炙りながら飲める。カウンター脇には1本100円のおでんが置かれ、こちらもセルフサービス。お客には若者や女性客もいて、けっこう楽しんでいるようだ。

3,000円で11品を注文できる専用プリペイドカードもあって、これを使えば1品の価格は約273円に下がる。おかげで、常連は皆カード払いだとか。
セルフサービスというのもなかなか楽しいが、欲張って焼酎をこぼさないよう、くれぐれも注意したい。
職場が近ければ、つい立ち寄りたい誘惑に駆られてしまう店だろう。

→うけもち