飲めれば何でもいいという酒飲みも多いだろうが、やっぱり時には量より質を大切にしてほしい。おいしい日本酒をじっくり楽しむ時間は、1日の締めくくりを豊かにしてくれる。

そんな楽しみ方をしたい人にオススメするのが、日本酒バー。居酒屋とはちょっと違う雰囲気で、本当においしい日本酒とゆっくり向き合える。新宿・京王プラザの「天乃川」や、銀座・新橋の「庫裏」、東中野「しもみや」など、素晴らしい日本酒バーはいくつかあるが、ちょっと敷居が高めなのも事実だ。もっと手軽に楽しみたいなら、池袋の「希紡庵(きぼうあん)」はいかがだろうか。
希紡庵_外観場所は、池袋の東口(パルコ側)から、駅前の「ヤマダ電機 LABI1日本総本店」の裏に回って左方向、ファミリーマートの2軒先にある「回し鮨・若貴」の地下だ。
池袋駅地下通路の29番出口から出ると、100mと行かずに着いてしまう。

地下への階段を降りると、シンプルな「希紡庵」の看板。店主の筆書きをそのまま掲げたもので、これが外看板の原稿でもある。
元はスナックだった場所を改装したという店は、6坪とという狭さで、一見ではちょっと入りにくいかもしれない。
店内は、カギ型のカウンター8席のみ(角席も含む)。入口から奥にかけて、壁には各地の酒蔵の前掛けが飾られている。白い壁と落ち着いた木目のインテリアで、調理器具なども整理されており、キレイな店内だ。

カウンター内には、店主の渡邊元康さんと女性スタッフの2人。
渡邊さんは、20歳を過ぎた頃から客として通っていた西口の「おまた」で、次第に日本酒の魅力にハマっていったそうだ。やがて日本酒に関わる仕事をしたいと思うようになり、池袋東武デパート地下にある日本酒バー「楽」に転職。それから6年ほど経った2010年6月1日に、この店をオープンさせた。

希紡庵_店内日本酒のラインナップは60種を数え、半合(90ml)での提供が基本となる。量が少ないのは気軽に注文できるようにという配慮で、素晴らしい銘酒ばかりを揃えながら、価格は1杯350円~400円が中心だ。半合450円以上となる「高級酒」は、60mlでも注文できるようになっている。
これは「楽」と同様のシステムで、さまざまなお酒を飲み比べたいお客にとっては非常に嬉しい価格設定だ。(お燗は1合)

銘柄は入れ替わりだが、例を挙げると、相模灘、あずまみね、白露水珠、遊穂、松の寿、会津娘、玉櫻、会津中将、山の壽、山間、風の森、房島屋、而今、長陽福娘、陸奥八仙、田酒、白瀑、酉与右衛門、曙光、長珍、雨後の月、鳳凰美田、美和桜、車坂、辰泉、澪標(みおつくし)、初雪盃、天明、京の華、豊圀、屋守、大那、根知男山、櫻川、亀甲花菱、久礼、鍋島、日高見、宝剣、三重錦、浜千鳥、英君、小左衛門…など、文句なしの品揃え。
日本酒以外は、ビールと梅酒が2~4種類だけというのも、本格派らしい。

肴は350~1,000円まで約24種類が基本。数こそ少ないものの、食材には独自のこだわりが伺える。メニューには、無農薬農園野菜や、たかはしたまごの玉子、いちうろこの黒はんぺん、蒼生舎のハムとベーコン、石黒農場のほろほろ鳥、久慈ファームの佐助豚…といった食材が並んでいる。

それらを使った肴は、キャベツの酒蒸し(400円)、ぽてとさらだ(400円)、無添加ハムの炙り(550円)、ほろほろ鳥のとりわさ(600円)、玉子かけ御飯(500円)などのほか、日替わりで鮮魚や珍味系の肴も加わる。メニューにない料理も、客とやりとりしながら臨機応変に出してくれることもある。

バーということもあって一人客が多く、しかも女性の常連が多いとか。すっきりとした和風インテリアと、Jazzの流れる静かな雰囲気が、良質な日本酒好きを集めているようだ。
個人的には、渡邊さんがもう少し話好きな方が面白いのだが、適度な距離感もまたバーらしさかもしれない。

8席しかないため、予約しないとなかなか入れない。自分などは、あえていきなり訪れてみて、入れるかどうか運試しをしてみたくなる。

→希紡庵
電話:03-3987-7518
定休日:月曜・祝日
営業時間:17:00~23:00
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