とり庄_外観鶏肉が嫌いな自分が、初めて「旨い!」と思った焼鳥屋は、2008年に訪れた北千住の「バードコート」。
それ以来、「旨い!」と思う焼鳥屋に出会えていなかったのだが、先週久しぶりに巡り合えた。秋葉原の路地裏にある老舗「とり庄」だ。

場所は、秋葉原の電気街口に出て、中央通りを上野方面に進み、「タイトーステーション」の角を右折。狭い路地の左奥にある。秋葉原UDX側からだと、西側デッキ正面の「麺屋極(きわみ)」の裏だ。
間口1間ほどの狭くて古ぼけた店舗で、入口に備長炭やお酒の箱などが雑然と積まれていることもあり、知らない人なら見向きもしないような外観だ。
ところが、店内は連日満席!1階は奥に向かってのびるカウンターに10席あるが、大柄な人は通りにくいような狭さ。2階は、4人用テーブルが4卓、2人用が2卓ある座敷席。階段の下部に靴を脱ぎすてて上がる形式だ。
照明はやや暗めで、壁にはお酒の銘柄や料理の短冊がびっしりと貼られている。トイレ和式で、やはりとても狭い

開店は1980年というだけあり、店の壁やカウンターはかなり年季が入っている
現在UDXがある場所は、平成元年まで「神田青果市場」があった場所なので、昭和の頃は「やっちゃ場(青果市場)」に出入りする人たちも一杯やりに訪れたことだろう。

カウンター内では、店長の棚橋隆さんと弟の深さんが、ひたすら調理に当たっており、炭火焼のいい匂いが漂っている。職人肌のご兄弟だが、気難しい感じではなく、むしろ腰は低い。
もっぱらサービスに当たるのは、岡持ちに料理を載せて1階と2階を往復している若い女性で、この古めかしい店に華を添えている。

最初に出されるお通し(500円)は、煮玉子・メンマ・糠漬のセット。シンプルだが、きちんとしたツマミになっていて、この店の名物になっている。実はもう1品、鶏スープがあるのだが、それは最後に提供される。
串コースは、5本(1,400円)、7本(1,900円)、10本(3,000円)、14本(4,200円)の4コースがあり、いずれも焼鳥のほかアスパラや銀杏の野菜串が1~2本つく。どの串もボリュームがあるので、大食漢でない限り、最初は5本コースにしておいた方が無難だ。2人で1コースを注文しても構わない

とり庄_店内山葵醤油でいただくささみ、レアに近い焼き加減のレバー、刻み葱をまぶした焼豚…と、どれもがうまい。淡白な味付けのモツ煮や、〆の拉飯(ラーハン=麺の代わりにおむすびが1個入っているラーメン)まで、この店らしさを感じられる料理ばかりだ。
壁の串メニューには値段がないが、コースから推察すると、肉系が1本300円少々、野菜系が1本200円少々といった見当だろうか。普通に飲んで食べて、1人3千円代がほとんどだろう。焼鳥屋としては安くないが、その美味しさを思えばまず文句は出ない。

似たような老舗の焼鳥屋と比べ、ここはお酒も美味しい銘柄が揃っているのが何より嬉しい。
日本酒は10種類あって、澤乃井・純米大辛口(700円)、住吉・純米(750円)、奈良萬「夢心」純米(750円)、真澄・純米吟醸(750円)、酔鯨・純米吟醸(750円)、出羽桜・桜花吟醸(750円)、賀茂鶴・特別純米吟醸(800円)、久保田「千寿」(850円)、黒龍・純米吟醸(800円)、田酒・特別純米(900円)というラインナップ。

焼酎も多くはないが、美味しい銘柄が揃っており、ワインは、南仏ラングドックの「ドメーヌ・ド・ラ・ノーブル '02年」(3,000円)があった。(品種は不明)

当然だが常連も多く、少ないながら女性客も目立つ。確かに1度知ったら、誰かを連れてまた来たくなる店だろう。
お勘定は、「〆のスープを」とお願いすればOK。食後の鶏スープで食べすぎた胃をいたわってから、店を後にしよう。

→秋葉原マップ:とり庄