会社の先輩から聞いた話。
日本のビールを飲み尽くしているドイツ人の友達が、「これが一番うまい!」と唸ったビールがあると言う。
それが、サッポロラガービール、通称「赤星」だ。

普通のサッポロビールと違い、ラベルに描かれている星が赤いため、こう呼ばれている。販売は「大びん」「中びん」のみで、缶はない。
何を隠そう日本最長寿のビールで、生産開始はなんとサッポロビール創業の明治9年(1876年)と言うから、優に130年を超えている。(当時はサッポロビールではなく「開拓使麦酒醸造所」と称していた。)

北海道では今でも人気があると言うが、都内や関西では滅多にお目にかかれない幻のビールだけに、「目撃情報」を募集しているサイトもいくつか存在する。
流通量が少ないのは、99.9%が業務用ルートで販売されているため。昔からこのビールを扱っていた飲食店のためだけに製造されているようだ。
現在、このビールを生産しているのはサッポロビールの千葉工場だけらしい。

日経産業新聞によると、最盛期の1960~70年代には年に5千万ケース以上(1ケースは大瓶20本)販売していたが、80年代に「生ビール」ブームが勃発。1996年に最大のライバル「キリンラガービール」が生に切り替えてからは、国内唯一の熱処理ビールとなった。
しかし、1999年の時点で年間販売量は百万ケース弱にまで減少。これまで何度も生産中止が検討されたが、そのたびに契約飲食店から「生産をやめるなら他社に切り替える」と、存続を求める要請(脅迫?)が相次ぎ、なんとか生き延びてきたらしい。
販売量はこのところ前年比2割減のペースだが、ブランドマネージャーの立山正之営業部担当副部長は「採算ギリギリの50万ケースまでは続ける」と話していた。

ちなみに「ラガービール」とは、下面発酵酵母(発酵の終わりに酵母沈むタイプ)を使って低温で熟成させたビールの総称。ドラフト(生)ビールに対し、熱処理をしたビールが「ラガー」だと思っている人も多いようだが、厳密にはそれは間違い。確かにサッポロラガービールも熱処理を加えているが 、本来「ラガービール」とは、熱処理の有無を問わない。
なお、「ラガー」に対し、上面発酵酵母(発酵の終わりに酵母が浮かび上がるタイプ)を使ったビールは「エール」と言う。

熱処理ビールは、日ごとに熟成が進む生ビールと違い、時間的な味の変化が緩やかで、独特の風味があると言われる。サッポロラガービールも、ほのかな麦芽の風味とすっきりとした飲みやすさが人気のようだ。
なお、現在ほかの熱処理ビールとしては、2001年に復活した「キリンクラシックラガー」がある。

サッポロは、この「ラガービール」といい、「エーデルピルス(※)」といい、ビール通に評価の高い製品を世に送り出しながらも、いつしか姿を消してしまうというケースが目立ち、残念だ。
もし、幸運にも置いてある店を発見したら、ぜひ味わってみてほしい。

その後、サッポロは2008年9月10日と、2009年8月12日の2回、主要コンビニエンスストアでラガービールの缶を限定発売した。それが予想を大きく上回る売れ行きだったため、2009年9月9日から10月まで、全国すべての酒販店でも販売したが、現在は販売を終了している。

→サッポロラガービール
http://www.sapporobeer.jp/product/beer/lager/index.html

※エーデルピルス
ファインアロマホップを通常の3倍使用したビール。現在は業務用10リットル樽生のみで、店頭販売はない。
サッポロビール直営の「銀座ライオン」など、ごく限られた店で飲める。