おいしい日本酒は多々あるものの、お酒には個人の好みもあるので、なかなか1銘柄だけ挙げるのは難しい。
古くは「越の寒梅」、割と最近では「久保田・万寿」「十四代」「黒龍」あたりが「うまい酒」の代名詞という気がする。
そんな中で、今回自信を持ってご紹介するのが「醸し人九平次〈別誂〉」
以前ご紹介した大塚の居酒屋「こなから」で呑み、余りの旨さにのけぞった酒だ。

このお酒が登場したのは、10年前(1997年)。愛知県名古屋市の酒造メーカー、株式会社萬乗醸造(ばんじょうじょうぞう)の銘柄だ。
同社は寛政元年(1789年)創業の老舗蔵元。現在15代目の久野九平治さんは、若い頃モデルや役者をしていたらしい。それが、父親と杜氏が共に倒れたことから、急遽蔵に戻って15代目を継いだという。
まるで、どこかのマンガのようないきさつだ。
杜氏には、同級生でエンジニアだった佐藤彰洋さんを抜擢。
畑違いの二人が協力し合って、「気品・優しさ・懐かしさ」をテーマに酒造りに取り組んでいる。

「醸し人九平次〈別誂〉」は、無濾過・無加水の純米大吟醸酒だ。
米は、酒造好適米として最高の「山田錦」、それも兵庫特A地区産を、なんと35%まで磨き上げている。
仕込み水は、長野の300年来の湧き水を調達。
限られた量を手間暇をかけて仕込まれている。

その味は上品で、芳醇な香りが魅力的。味わいに透明感がありながら、日本酒らしい旨みと甘みが広がる。ともかくバランスが良い。日本酒の初心者にも、通の人にも分かる明快な旨さ
これを堪能するには、逆に冷やしすぎない方がいい。

〈別誂〉は、パリの3つ星レストランでも、ワインリストに載せられている。
それも、最近東京に出店して話題沸騰のピエール・ガニエール氏の店や、フランス料理界の大御所アラン・デュカス氏の「スプーン」など、超一流の店だ。

さぞや高い価格と思いきや、1升で7千円台、4合瓶はその半額程度から入手可能。
この味がこの価格とは・・・安い!安すぎる!
日本人で、本当に良かった・・・・。

●醸し人九平次 純米大吟醸 別誂
使用米:山田錦35%精米
使用酵母:協会14号酵母
日本酒度 ±0
酸度 1.7
アルコール度 16.0~17.0