たぶん、初めて聴いたのは19歳の頃の大晦日だったと思う。
十代の頃はFM放送を良く聴いていたのだが、その日偶然オンエアされたのが、キース・ジャレットの「ザ・ケルン・コンサート」パート1だった。

JAZZ好きな人にとっては伝説的なアルバムだが、それまで全くキース・ジャレットを知らなかった自分にとっては、かなり衝撃的だった。
無宗教の極みのようなタイプだったにも関わらず、聴いた瞬間に「音楽の神がこの人の指先を通してピアノを奏でている」と感じたのを、はっきりと覚えている。

後に分かったのだが、そう感じたのは自分だけではなく、このアルバムを聴いた多くの人が、全く同じ感動を覚えたらしい。

「ザ・ケルン・コンサート」は、タイトル通り、1975年1月24日にドイツ・ケルンのオペラハウスで行われたコンサートのライヴ・アルバムだ。
キース・ジャレットは“インプロヴィゼイション”と呼ばれるJAZZの即興演奏において、当代一の名手と言われている。
このアルバムのようなピアノ・ソロで有名だが、トリオを組んでの演奏も多い。

彼のスタイルは、既成の曲を独自のアレンジで弾くのではなく、ステージで感じたものをそのまま演奏するという、完全な即興演奏。従って、曲名もない。
彼が、その場所でその時何を感じたのがが、そのまま音になる。同じ場所であっても翌日にはまったく別の演奏が行われるという、特異なコンサートだ。

このアルバムでも、曲名は「ケルン、1975年1月24日 パートI」「同パートIIa」「同パートIIb」「同パートIIc」としか表記されていない。(全4パート)
「パートI」が最も長く、26分15秒あるのだが、演奏の最初から最後までほとんど暗記してしまうほど繰り返し聴いた。何度聴いても、最初に聴いた時の感動が蘇る。

特に、自分のお酒のBGMとしては究極とも言える曲なのだが、実際にこの曲を聴きながら呑んだことは数えるほどしかない。
なぜなら、この曲がかかるとほとんど呑むことも忘れて、ひたすら聴き惚れてしまうからだ。

●KEITH JARRETT/THE KOLN CONCERT
 POCJ-2524