銘酒居酒屋はたくさんあるが、店主のこだわりの強さでここに匹敵する店はまずない。東中野の銘酒居酒屋「大政小政」がそれだ。

店は東中野駅の東口改札から左側の階段を降り、振り返ると見える「くじらのおなか」の手前、「ムーンロード(駅前飲食店会)」の路地を入った突き当たり。見た目はごく普通の居酒屋だ。
店内は、カウンターに8席、テーブルは4人用と8人用の2つ、座敷は24人まで入れる。

常時約80種類ほどの日本酒が揃っているのだが、全てが店主こだわりの美酒で埋め尽くされている。日本酒が苦手な人や嫌いな人でも、この店に来れば「自分が今まで日本酒だと思っていた代物は何だったんだ」と思うのではないだろうか。

特に「十四代」の全ラインナップが揃えてある店というのは、見たことがない。しかも、5年・6年と店で寝かせた古酒まで取り揃えている。
仮に「十四代」をいろいろ飲んでみたい場合には、「山田錦」→「龍の落とし子」→「八反錦」→「八反錦おりがらみ」といった順番で飲むといい、といったアドバイスをしてくれる。

と言うか、こうした順番で飲まないと店主の森泰伸さんが黙っていない。
森さんは、お酒を飲む順番や料理との相性にこだわりを持っているので、素直にアドバイスを求めた方がいい。そうしないと「それはお勧めできない。こっちの方がいいよ」と言われてしまう。自分のこだわりに自信があるのはいいのだが、それ以外の飲み方を認めないのは欠点。「どうしてもこっちが飲みたい」と言えば、渋々出してはくれるが・・・。
生半可な日本酒通は木っ端微塵にされる

十四代だけでも十分凄すぎるのだが、ほかにも納得の銘柄がキラ星の如くメニューに並ぶ。
飛露喜、磯自慢、風の森、臥龍梅、田酒、来福、鶴齢、宗玄、天の戸、七田、秀鳳、雁木、星自慢、開運、三重錦、黒松翁、美和桜、悦凱陣、亀泉、鍋島、南、山吹極、亀・・・。
日本酒以外に、本格焼酎(芋・米・麦)や泡盛、エーデルピルス樽生ビール(市販なし)やベルギービールもある。
内容を考えれば価格も良心的で、700円~900円くらいが多い。ただ、「絶品」モノは当然高く、十四代のハイクラスだと5勺で1,600円とかになるので、いい物ばかり頼んでいると勘定は馬鹿にならない。

料理もまた素晴らしい。名物は、目の前で作ってくれる汲み上げ豆腐と、手打ち蕎麦、鯛めし。少なくともこのうちの1つか2つは食べてみることを是非おすすめする。森さんいわく「ほかで食えなくなるよ」とのことだが、あながちオーバーとも言い切れない。鯛めしは土鍋一杯あるので、何人かで分けるといい。これのみ調理に1時間かかるので、食べたいなら早めに注文しておく必要がある。

宴会コースは3,500円からで、飲み放題プランもある。(90分の場合で1,500円)
毎回、1つの蔵の酒を集中的に飲み比べる「大政小政会」も開催している。次回は5月19日で、お酒は「七田」が6種類、会費は7千円だ。

まさに頑固親父の店だが、店主のおすすめに従って飲むことに抵抗さえなければ、最高の美酒と肴を心ゆくまで味わえる。

●銘酒居酒屋 大政小政
http://homepage2.nifty.com/oomasakomasa/