ジンと言えば、オランダ生まれでイギリス育ちのスピリッツだ。
17世紀の中頃、オランダのライデン大学のシルビウス教授が、利尿作用があると言われていたジュニパーベリー(ねずの実)をライ麦から作った蒸留酒に漬け、薬用酒として売り出した。これが、ジンの始まりといわれている。

ねず(杜松)というのはヒノキ科の樹木で、その実を乾燥させると、特有の甘くすえたような芳香が出るため、肉料理のスパイスとしても使われていた。

オランダのオレンジ公ウイリアムがイギリス国王に迎えられたのをきっかけに、ジンはイギリスへ伝わり、18世紀になるとロンドンで大流行した。
19世紀に連続式蒸留機が開発されると、これを使用した独自の製法が発達し、「ロンドン・ジン」や「ブリティッシュ・ジン」などと呼ばれるようになる。

単式蒸留機を使用して作られるオランダのジンは、重厚でコクがあるヘビータイプ。
これに対しロンドン・ジンは軽い風味で、カクテルのベースとしてピッタリなこともあり、たちまち本家を凌ぐ人気となった。
ビフィーター、ゴードン、タンカレー、プリマスなど、有名なジンはすべてイギリス産だ。

もちろん、イギリスやオランダ以外にも美味しいジンはある。
ドイツで造られる蒸留酒「シュタインヘイガー」は、独自の製法で人気だ。
味は、オランダ・ジンとロンドン・ジンの中間的な風味。

アメリカには、日本でも人気の高い「ボンベイ・サファイア」がある。
世界中でたった4機しか存在しないカータヘッド・スチル蒸留機を使って、何度も蒸留を繰り返し、極限にまで磨き上げられた原酒に10種類にも及ぶ植物の香りを付けて、独自の華やかな香りと味わいを創り出している。

もし、この「ボンベイ・サファイア」が好きという人がいたら、ぜひおすすめしたいのが、ちょっと珍しいフランスのジン「エギュベル」だ。
これは、プロバンス地方のトラピスト派エギュベル修道院で作られたもの。
ドライジンにありがちな刺激的な感じや、薬っぽい香りが無く、柑橘系やバラ系の甘い香りと風味を持っている。マイルドで女性的な味わいのジンだが、アルコール度数は40度ある。

ジンやウォッカは、冷凍庫でギンギンに冷やしておくとストレートでも飲みやすくなる。
エギュベルもストレートかロックが最高だが、ジントニックにしても絶品
価格は、700ml瓶が2千円前後だ。

フランスには、ほかに「シタデール」というジンもある。こちらもボンベイ・サファイア系だが、更にその上を行く19種類もの植物から香りをつけている。
飲みやすさで言うと、ボンベイ・サファイアに一歩譲る気がするが・・・。

余談だが、エギュベル社はジン以外にもさまざまなスピリッツやリキュールを作っており、ベルモットなども大変美味しい。
同社は2001年6月にISO9002の認証を取得していて、意外な先端企業でもある。

●Eyguebelle
http://www.eyguebelle.fr/jp/