「朝日酒造(株)の酒」と聞けば、ほとんどの人は新潟の「久保田」を思い浮かべるに違いない。確かに、酒どころの新潟でもトップの酒蔵だから、その名は知れ渡っている。

しかし、今回ご紹介する「朝日酒造(株)」は、鹿児島から380km南下した奄美群島の一つ、喜界島(きかいじま)にある同名の別会社。
新潟の朝日酒造より年間平均気温が9℃も高い亜熱帯地域にあるため、こちらで造っているのは日本酒ではなく黒糖焼酎だ。
焼酎好きな人なら、「朝日」というラベルでお馴染みのはず。

実は、自分はあまり焼酎を飲む方ではないのだが、その中でも割と飲むのが、黒糖・麦・栗といった焼酎だ。
黒糖の名産地として知られる奄美群島だけが製造を認められている黒糖焼酎だが、実は原料の黒糖はほとんどが沖縄産。地元の黒糖は、その品質の高さから、ザラメや製菓用、コーヒーシュガーなどの需要が高く、焼酎にまで回せないという皮肉な状況なのだ。

朝日酒造の4代目・喜禎浩之さんは、喜界島産100%の黒糖焼酎を造るため、自ら無農薬有機栽培のサトウキビを育て、自前の製糖工場で黒糖を精製している。
仕込み水はサンゴ礁の地下から湧き出る硬水を使用。糖分やその他の添加物は一切使用していない。

同社の焼酎には、レギュラーの「朝日」以外に、黒糖を通常の2倍使った「壱乃醸(いちのじょう)朝日」、白麹を使って低温で仕込んだ「飛乃流(ひのりゅう)朝日」などがあるが、一番魅力的なのが、初留取りの限定品「南の島の貴婦人 OOGOMADARA」だ。
白い円筒にモノクロで蝶だけが記された外箱は、他に類を見ないシンプルなデザイン。

「OOGOMADARA(大胡麻斑)」とは、喜界島を生息北限とする白黒模様の大きな蝶の名で、その気品ある姿から、地元では「南の島の貴婦人」と呼ばれているのだ。
島を象徴するこの蝶が、香りに誘われて舞い降りてくるような酒、というイメージらしい。実際この焼酎は、甘い花や果物のような香りがする、独特の美酒になっている。

華やかな香りは、蒸留して最初に出て来る初垂れ(初留取り)といわれる雫だけを使った贅沢な造りのおかげ。アルコール度は44度と少々強いものの、この魅力あふれる香りとまろやかな甘さが特徴で、そのまま飲んで美味しいのはもちろんだが、食事と合せても実に相性がいい。
濾過を最小限にしているため、ボトルごと冷凍庫で冷やすと一部の成分だけが結晶化し、瓶の中を雪のように舞うそうだ。

年1回だけ少量出荷される限定品なので、手に入れたい方は9月の出荷を見逃さないように

●南の島の貴婦人 OOGOMADARA
 原材料:黒糖・米麹、容量:300ml、価格:2,100円