今月下旬、MPBを代表するアーティストであるマリーザ・モンチが15年振りに来日する。それに先立って、以前リリースされた6枚のCDが5月9日に再発売されることになった。これは見逃せない!

MPB (エミ・ペー・ベー)とは、ブラジリアン・ポピュラー・ミュージックを意味する「Musica Popular Brasireira(ムージカ・ポプラール・ブラジレイラ)」の略語だ。
ブラジルの音楽というと、囁くように歌われるボサノバを思い浮かべる人が多いと思うが、実はボサノバが誕生した50年ほど前までは、大声で歌われるサンバなどが主流だった。1957年頃にボサノバが誕生し(ボサノバとは「新しいタイプの才能」の意)、59年の映画「黒いオルフェ」のヒットによって、世界中に知られるようになる。
特にボサノバの代名詞的な名曲「イパネマの娘」は、日本でもすっかりポピュラーになった。

しかし、1964年のクーデターでブラジルに軍事政権が樹立されたことから、多くのアーティストが国外に逃がれ、ボサノバの衰退を招く。
それ以降、ボサノバに代わってポピュラーとなったのが、MPBというわけだ。ビートルズ以降のロックなど西欧ポピュラー・ミュージックの影響を受けたブラジルの大衆音楽と言えるだろう。

マリーザ・モンチは、1967年リオ・デ・ジャネイロ生まれ。名門サンバ・チーム「ポルテーラ」の役員だった父親の影響もあって、幼い頃からブラジルの伝統音楽、ポップ、ジャズ、ロックと多彩な音楽や楽器に囲まれて育った。
10代から声楽を習い、リオの国立音楽学校に入学。18歳でオペラ歌手を目指してイタリアに留学するが、ローマのライブハウスでブラジル音楽を演奏していたところを、名プロデューサー・ネルソン・モッタに見出されて帰国し、19歳でプロ・デビューを果たした。
この初アルバムが大ヒットして以来、彼女の人気は高まる一方と言っても過言ではない。

サッカー選手のロナウジーニョロナウド、レオナルド・ディカプリオの恋人であるスーパーモデルのジゼルなど、ブラジルの若い世代たちの中での人気は絶大。
とにかく歌がうまくて、声に艶があり、アーティストとしてもプロデューサーとしても優秀で、頭が良い上に美人でセクシー。これだけ「天賦の才」に恵まれた女性も珍しい。

アルバムのリリースは2、3年に1枚というスローペースだが、どれも素晴らしい出来だ。
「MPBの女王」と称されるボーカリストにはガル・コスタがいるが、マリーザ・モンチも新たな女王と言えるだろう。

ブラジル音楽を聴く日本人はまだそれほど多くはないと思うが、これからの季節、ラムやトロピカル・カクテルを飲みながらのBGMとして、1度試してみるのもきっと悪くないはずだ。

●マリーザ・モンチ オフィシャルサイト
http://st-co.jp/mm/