今日は、西新宿のはずれにひそむ名店。自分の好みとしては直球ど真ん中の美酒とジャズの店、西新宿「ゆびそ」をご紹介。
場所は新宿駅西口から小滝橋通りを大久保方面に5分ほど歩き、「西新宿保健センター」の信号を左斜め前の路地へ入る。早稲田塾の角を左に折れて、50m程歩いた左側の地下

店は小さめだが、白い壁が清潔感を感じさせるモダン和風インテリアだ。
手前に大きめのテーブルが1卓あり、奥が7席ほどのカウンターになっている。カウンターは、店主が選んだ一枚板の特注品

店主の岩橋俊朗さんは、学生時代から料理と古伊万里の収集を趣味としていたとのこと。
新潟の出身で、高校時代は軽音楽部に所属し、トランペットを吹いていたという。
無類のジャズ好きで、店名の由来もヘレン・メリルの名曲「You'd be so nice to come home to」から採っている。
勤めていた会社を2002年12月に早期退職して、奥様と2人でこの店を開いたそうだ。

お酒は、日本酒が約20種、焼酎約10種(麦1種のほかは全て芋)、ビール3~4種、ウィスキー2種といったところ。すべて、店主のお眼鏡にかなった銘柄以外は置いていない、こだわりの品揃えだ。メニューには書かれていない非定番銘柄もあり、それがまた素晴らしい。
在庫僅少のイチオシ銘柄が、日本酒「ゆびそ」。店主の友人が、八反錦を使って広島で醸した酒とのことだが、既に酒造りをやめてしまったそうなので、在庫が切れた時点でもう飲むことはかなわなくなる。従って、一人一杯限定。19度と強めの日本酒だが、限定でなければ何杯でも飲みたくなる見事な酒だ。同じ人の手による焼酎やウィスキーもある。

日本酒は片口できっちり1合提供され、ぐい飲みは店主のコレクションから自由に選べる。コレクションは、磁器・陶器・グラスがそれぞれ10種類くらいずつあり、江戸時代の古伊万里から現代のものまで多彩に揃えられていて楽しめる。

料理は40種類ほどだと思うが、刺身、天婦羅、寿司、牛筋煮、珍味…と、多彩にして十分なバリエーション。家庭的でホッとする味だが、こちらも只者ではないネタがひそんでいたりする。昨晩いただいたのは「小鯛の酢〆」に「イトヨの唐揚げ」。
イトヨは天然記念物の淡水魚なので、本来は採ることも許されないが、海に回遊するタイプはその限りではないのだとか。トゲに気をつけさえすれば、美味しい魚だ。
お通しは梅茶碗蒸し。コース料理も3000円から用意してもらえる。

岩橋さんの大好きなジャズのCDは300枚ほど、レコードも150枚ほど揃えられている。
オーディオは、DENONのシステムにB&W(Bowers & Wilkins)のスピーカーという贅沢な組み合わせ。ジャズ好きにはたまらない時間が過ごせる。

とびきり美味しいお酒に、珠玉の肴、心地よい音楽。欠点と言えば、なかなか帰る気になれず、いつまでもずるずると過ごしてしまうことくらいだ。

■吉林優デザイン室/「ゆびそ」の紹介ページ
http://homepage2.nifty.com/yoshibayashi/yubiso.html