シングルモルト・ウィスキーが好きな人というのは、個性を愛する人だろう。万人に受け入れられるブレンデッド・ウィスキーより、好き嫌いがはっきり分かれるに惹かれるということだから。

そんなシングルモルト・ウィスキー好きの人に、1本だけを薦めようというのは難しい話だ。入門者だったら、「グレンモーレンジ」や「ザ・マッカラン」あたりをすすめるべきだろうが、それでは当たり前すぎて面白味がない。それなりに飲んでいる人なら、最近気に入っている「クライヌリッシュ」をおススメしたい。

クライヌリッシュ蒸留所は、スコットランドで最も北部に位置する蒸留所の1つ。ハイランド北部のブローラという町にある。

現在のクライヌリッシュ蒸留所が建てられたのは1967年。それ以前にも古い蒸留所があったのだが、そちらは新しい蒸留所の完成に伴って「ブローラ蒸留所」と改名し、それから16年ほどは全く同じ方法でウィスキーを造っていた。だが、ブローラ蒸留所は1983年5月に閉鎖され、現在はクライヌリッシュ蒸留所だけが操業を続けている。

シングルモルト好きの中には、「ブローラ」の方を好む者も多いようだが、なんせ新しいものでも24年前の出荷だ。残念ながらまだ飲んだことがないため、自分には比較できない。(万一、そちらの方が美味しかったとしても、入手困難なのでここではお勧めしないが。)

クライヌリッシュにも色々あって、どれも美味しいのだが、自分が特に気に入っているのは32年物の手書き風ラベル。
長期熟成ウィスキーとしては淡い色合いだが、黄金色で美しい。長期熟成による華やかで複雑な香りに、スモーキーなピート香と海の香りが混じって、魅力的な芳香を放っている。舌触りはなめらかでフルーティーだが、度数が53.4°とかなり強いので、喉を通り過ぎてからカッと効いてくる。

それだけで飲んでも充分おいしいが、水で割って食事と合わせても楽しめる。少しくらい水で割っても、かえって香りが立ち、美味しさは失われない。
ワインと同じように、ウィスキーも長期熟成を経たものは香りが開いてくるのに時間がかかる。ゆっくりと時間をかけて楽しんでもらえると、このウィスキーのポテンシャルをより味わえると思う。
美味しいシングルモルトを探している人には、ぜひ試してほしい銘柄だ。

クライヌリッシュ蒸留所(英文)