日本酒のセレクトでは、大宮でもトップレベルの目利きを誇る店が、東口の「あい彩」だ。
場所は、JR大宮駅東口から南銀座を抜け、駐車場「Navi Park」の角を左折した路地の中ほど、左側の2階。駅からは400mほど、路地裏の飲食店街にある。

小さな飲食店ビルの2階に上がり引き戸を開けると、まず右手にお酒の冷蔵庫が目に入る。左手はカウンターだが、中央の柱から手前半分が靴のまま、向こう半分が小上がりの掘りごたつ式という珍しい造りだ。どちらにもそれぞれ4席がある。小上がりには4人掛けの座卓が2つ。
窮屈さは感じないが、小さな居酒屋だ。

店は切り盛りするのは、中年のご夫婦お二人。ご主人のお酒に対するこだわりは並大抵ではなく、中野の「大政小政」を連想させる。
日本酒は60種類以上あり、そのセレクトを見ればこだわりの強さは一目瞭然。

黒龍(700円~)」と「十四代(600円~)」は、ほぼ全てのラインナップが揃っている。なんと、最高ランクの「石田屋」(4,000円)「仁左衛門」(3,500円)「龍月」「双虹」(各2,500円)まで!(だが、グラス1杯でこの価格は高すぎ。ブランド志向に対する親父さんの戒めかも?)
プレミアム酒を別にすれば、ほとんどは1杯700~800円で、醸し人九平次、飛露喜、天界、正雪、初亀、墨廼江、麓井、東一、南、幻舞、開運、…といった珠玉の銘柄が並ぶ。磯自慢は1,000円~だが、〆張鶴、銀盤、喜正は各500円、陸奥八仙、根知男山、亀甲花菱は各600円だ。
もちろん、季節物や限定酒などは随時入れ替わる。ご主人は特に原酒にこだわっているようだ。梅酒も2種あり。

焼酎(500円~)も、天使の誘惑、宝山芋麹全量、宝山蒸撰白豊、宝山蒸撰紅東、宝山蒸撰綾紫、富乃宝山、吉兆宝山、薩摩宝山、万暦、乙女月、十四代(蘭引)といった品揃え。ビールヱビスとヱビスの黒、それにサッポロラガー(赤星)の3種という、これまた見事なセレクトだ。(550円)生ビールがないというのも潔い。

料理は、水茄子の浅漬け(350円)、ふろふき大根(400円)、揚つくね(450円)、季節のお刺身(500~1000円)など、お酒のお供に嬉しいものが揃えてある。(ご主人、実はお刺身と納豆が苦手らしい。)
晩秋から始まる外二八蕎麦は、週6人前限定だが絶品との評判だ。

ご主人は脱サラして店を開いたそうだが、お酒に関する知識はものすごい。好みの味や予算を伝えれば、美味しいものを見つくろってくれる。何日か寝かせた方が旨くなるお酒などを注文すると、「今ならこっちの方がおすすめだよ」と、別のものを勧められることも。

お酒の話はもちろんだが、ご主人はバイク、模型、映画など多趣味な人で、話し好きのようだ。個人的には、たまに煙草を喫うのがちょっと気になるが、常連たちと話をはずませながらも氷の音だけでグラスが空いたと察し、すかさず水を注いでくれるワザには感心した。
ご主人のキャラは少々濃いが、酒好きには極楽の店だ。

いま入荷しているお酒を店のホームページに載せているので、訪ねる前にそちらも確認しておくといいかもしれない。

酒庫 あい彩