青森の酒と言えば、ほとんどの人が田酒を思い浮かべるだろう。
だが、青森には田酒のほかにも「豊盃」や「陸奥八仙」など、酒飲みを惹きつけてやまない銘酒が結構隠れている。
その中で、是非とも知っておいて欲しいお酒が「善知鳥」だ。

善知鳥は「ウトウ」と読む。元々は、チドリ目ウミスズメ科に属する海鳥の名前だ。かつて青森周辺でのみ観察された珍しい鳥だという。
青森が浪岡町と合併する2005年までは市の鳥に指定されており(現在はふくろう)、そもそも「青森村」自体が以前は「善知鳥村」という名前だったと言うから、郷土を象徴する鳥だったようだ。

「善知鳥」と書いてなぜ「ウトウ」と読むのかは、地元の伝説に由来しているのだが、それについては触れない。この酒が、田酒で知られる西田酒造の逸品だということだけ覚えておいて欲しい。

純米酒「田酒」が誕生したのは1974年。手間を掛けて丁寧に造られたバランスの良い味わいは、数々のコンテストで一位に輝き、特に女性に人気のある地酒として知れ渡っていった。
その蔵元である西田酒造店には「喜久泉」というブランドもあり、その中取り大吟醸が「善知鳥」だ。

「善知鳥」は、最高の酒造好適米といわれる山田錦を使った「大吟醸」と、青森産の酒造好適米華想いを使った「大吟醸・百四拾」の2種類がある。(「華想い」は、山田錦と華吹雪を掛け合せた酒米で、系統名が青系酒140号。)
いずれも40%まで精米され、メロンのような華やかな香りが立つ素晴らしい大吟醸酒に仕上げられている。スッキリと飲みやすいものの味わいは深く、大吟醸の魅力を余すところなく堪能させてくれる。

「大吟醸」は毎年5月に、「大吟醸・百四拾」は6月中旬にのみ少量発売される。価格は、「大吟醸」が8,156円(1800ml)、「大吟醸・百四拾」が2,400円(720ml)と、決して高くはない。
ただし、香り豊かな酒なだけに、これに肴を合わせるのは難しいかもしれない。

なお、阿佐ヶ谷に「善知鳥」という、燗付けの達人が営む銘酒居酒屋があるのだが、この店ではもちろん善知鳥が飲める。

西田酒造店