最近の銘酒居酒屋には、燗酒に力を入れている店が増えて来た。錦糸町の「井のなか」も、そんな店のひとつだ。この店で燗酒のうまさに感動したという人は多い。

場所は、錦糸町駅の北口。駅前の吉野屋の前の道を左方向に進み、最初の角を右折して50mほど行った右側にある。

店は木を使った和風ながら、縦横に細長い窓を使った、ちょっとモダンなデザイン。入ると、20人ほどが座れる大きなコの字型のカウンターがメインになっている。その右側にある小上がりは掘りごたつ式になっていて、4~6人用の座卓が3つ。

店主の工藤卓也さんは、茅場町の地下にある「五穀家」日本橋店で日本酒と燗の修行を積み、グルメ誌「dancyu」の日本酒特集でも、銘柄選定の一員に名を連ねる業界の著名人。
「五穀家」から独立してこの店を開店したのは2006年3月31日なのだが、既に店名は日本酒通の間に広まっている。

さすがに日本酒のセレクトは素晴らしい。日本酒通も納得する本物の酒だけを揃えていながら、メニューに記載された地酒がすべて1合1,000円未満におさえられている。こんな店はなかなかお目にかかれない。
1合のほか、1.5合でも注文できるが、値段は単純に1.5倍だ。

中でも竹鶴扶桑鶴には特に力を入れていて、7~8種類ずつのラインナップを揃えている。竹鶴が550~900円、扶桑鶴が550~880だ。その中からそれぞれ3種類を選んだ利き酒セット(1,000円)もある。

そのほかの銘柄は、神亀(900~980円)、春鶯囀(550~600円)、雅山流(750円)、睡龍(750~950円)、成政(850円)、るみ子の酒(900円)、辨天娘(700円)、諏訪泉(950円)、白瀑(800円)、雪の芽舎(800円)、旭菊(700~800円)、萩の鶴(650円)、伯楽星(800円)、鯉川(650円)、初駒(530円)、鶴齢(600円)、悦凱陣(600円)、喜久酔(850円)、秋鹿(800円)。上質な純米酒ばかりで、山廃や生もとといった通好みのものも多い。
臨時入荷の銘柄は、店で直接確認しよう。

お燗は、銘柄ごとに温度や温め方を変え、お酒のおいしさを最大限に引き出す工夫をしている。従って、工藤さんのアドバイスを受けてから飲み方を決めれば、より美味しく飲めるはずだ。(工藤さん以外のスタッフは、今ひとつ頼りない…?)

焼酎は、甘露(600円)、心水(650円)、黒麹萬年(700円)、角玉(750円)、佐藤黒(800円)、おばの蔵から(600円)、松露くろむぎ(600円)、佐藤麦(700円)…など。ビールはヱビス。果実酒などもある。

肴は、長島農園の野菜とハモンセラーノのサラダ(950円)、京都・飯尾醸造のお酢を使った〆鯖(900円)、茨城・鹿熊牧場のかくま豚の角煮(880円)、静岡・杉山農園のわさび漬け(450円)、和歌山の三ッ星醤油を使ったセイアグリー卵かけ御飯(400円)…など、産地直送の素材が魅力。

日本酒関連の書籍や漫画も置いてあって、酒好きの心をくすぐる。
店のキャラクターである(井のなかの?)カエルは、酒肴研究家・神澤柚実子さんの作。
漫画家の尾瀬あきら氏や、日本酒の神様上原浩氏の色紙など、あちこちに飾ってあるお宝も見ものだ。

井のなか