どんな人でも、初めての居酒屋に入った時は、まずメニューを見るだろう。特に自分は、かなりじっくり見る。
すべて見終わる前に注文を取りに来たら、見終わるまで待ってもらう。
ページ数が多い場合は、最初の1杯と軽いおつまみだけ注文し、それからゆっくり目を通す。
メニューは、その店の自己紹介であり、最初の対話になるからだ。

まず、料理とお酒のバランスを見れば、その店が料理主体の店なのか、お酒主体の店なのかが分かる。
それによって、注文する品も変わってこようというものだ。

次に、お酒の品揃えを見る。最近目立つのは、焼酎や梅酒を豊富に揃えた店だ。
揃えるのは結構なのだが、人気の銘柄ばかりを総花的に集めるばかりで、ほかの品揃えは頼りない…という店はいただけない。単に目先の流行に乗っているだけの店に思える。

日本酒の品揃えも同じこと。ありきたりの銘柄ばかりの店だと、軽い失望を禁じえない。
自分が注目している銘柄がいくつか置いてあれば、「おう!やるじゃん」と、メニューの先を見るのが楽しみになる。
珍しい銘柄や個性的な銘柄が揃っていると、「ほう!そう来たか」と店主のキャラクターを探る楽しみが生まれる。

値段を見る際に注意したいのは、多くの場合、1杯の量が書かれていない点だ。「十四代が600円は安い!」と思ったら、1合(180ml)の半分程度しかなかった…ということもある。
不自然に安い場合や、注いでもらって1合なさそうだと思った時は、店に量を確認してから、改めてメニューを見直した方がいい。

忘れてならないのは、壁の短冊や黒板に書かれている当日の料理臨時入荷の酒。ここを見落とすと、注文してから後悔することもある。
旬の食材を使った料理や、その時季にしか出荷されないお酒にこそ、その店の実力が現れるものだ。

胃袋や肝臓には、誰しも限界がある。限られた注文数でその店の真価を味わいたいと思えば、おのずと選択も真剣になろうというものだ。

居酒屋で、メニューを見ながらニヤニヤしたり、うなったりしている客がいたら、ぜひ温かい目で見てやってほしい。