※「十割そば・郷」は、2010年2月で閉店してしまいました…。

今日は居酒屋ではなく、1年ぶりに立ち食いそば屋をご紹介したい。もちろん、今回もただの立ち食いそばではない。立ち食いでありながら十割そばを提供している、銀座「十割そば・郷」だ。

場所は、銀座松坂屋の先の6丁目交差点を昭和通り方面に入り、銀座東武ホテルの角を右に曲がってすぐ左側。
見た目は普通の立ち食いそば屋と大差ないが、入って右側のカウンターに少しだけスツールがあるのと、立ち食いにしては値段が高いところが違う。

元来、そば粉は粘り気がないため、めんに加工するのが難しい。そのため、通常はそば粉に小麦粉などのつなぎを混ぜてめんに加工している。
小麦粉は、水を加えるとグルチンという粘り気のあるあるたんぱく質を作り出すので、めんに加工しやすくなるのだ。コスト的にも割安になる。

そば粉とつなぎとの比率によって、そば粉8:小麦粉2なら「二八そば」、そば粉10:小麦粉1なら「外一そば」などと呼んだりする。
多くの立ち食いそば屋は、そば粉の割合が2~4割しかないとも言われ、「そば粉入りうどん」に近いのが現状だ。

それに対し、つなぎを一切使わず、蕎麦粉とお湯のみで打ったものが十割そばだ。そば打ち用語では、「生蕎麦(きそば)」とか「生粉打ち(きこうち)」と言われる。
下手な十割そばだとボソボソの切れやすいめんになってしまうが、高品質のそば粉を使い、うまく水を吸収させる技術があれば、小麦粉をしのぐ粘り気を出すことが可能なのだ。

この店では、その日の天気に合わせて水加減を調節しているという。
客の注文を受けてから、その都度そばを製麺機で切り出し、そのまま釜の中に落とす。(この時プシュ~ッという音がする。)めんが細いので、茹で上がりまで数秒しかかからない。

そばは喉ごしが良く、立ち食いらしからぬ美味しさだ。つゆとのバランスも良い。
そばの香りはそれほど感じないが、それはそばの実の外側部分より中心部分を多く使った更科系のそばだからだろう。香りより舌触りや味、打ちやすさを優先した結果だと思う。

温いそばは、かけ(420円)、きつねそば(530円)、カレーそば(590円)、かき揚げそば(650円)、えび天そば(650円)、とろろそば(700円)…など12種類。

冷たいそばは、もり(420円)、ざる(490円)、おろしそば(530円)、ネギせいろ(530円)、冷しきつね(550円)、梅わかめそば(680円)、スタミナそば(780円)…など11種類がある。玉子は50円。
どちらかと言えば、冷たいそばの方が味の差を分かりやすい。

丼物とのセットも7種類あって、630円~700円。ほかに、からし高菜ライス(200円)やおにぎり(130円)も各種ある。

下手な蕎麦屋に入るなら、ここの蕎麦の方が、安くて美味い。
ご主人はメッシュの茶髪で、手首にタトゥと少々強面だが、愛想は滅法いい。
昼時はかなり混み合うので、できれば少し時間をずらして訪ねたい。

→livedoor 東京グルメ/十割そば・郷
http://tokyo.gourmet.livedoor.com/restaurant/info/15068.html