ジャックダニエルは、現在世界最も売れているウィスキーだ(年間約890万ケース/2006年)。分類としてはバーボン・ウィスキーに入るが、「バーボンではなく、テネシー・ウィスキー」だと主張しているのは、有名な話。

バーボンというのは、原料にトウモロコシを半分以上使用して、(ただし、8割以上になると「コーン・ウィスキー」と呼ばれる。)連続蒸留器で造られたアメリカ産ウィスキーだ。熟成には、内側を焼き焦がしたホワイトオークの新樽が使われることが多く、独特の芳香がつく。
生産の中心地がケンタッキー州バーボン郡だったことから、「バーボン・ウィスキー」という呼称が生まれた。

ジャックダニエルの醸造所は、ケンタッキー州ではなく、その南隣のテネシー州にある。1866年にアメリカで初めて政府登録された蒸溜所だが、当時の責任者ジャスパー・ニュートン・ダニエル氏は、若干16歳だったと伝えられている。
1904年にセント・ルイスで開催された世界博覧会で唯一金賞を獲得し、一躍その名を知らしめた。

他の州で造られても、製法が規定通りなら「バーボン」に分類されるのだが、テネシーでは「バーボンより上」というプライドを込めて「テネシー・ウィスキー」と称しているのだ。
テネシー州には、ジャックダニエル蒸留所以外にジョージディッケル蒸留所もあるが、現在こちらは操業休止中のため、事実上、ジャックダニエルが唯一の「テネシー・ウィスキー」となっている。

製法はバーボンとほとんど同じだが、蒸留直後に原酒をサトウカエデの炭(チャコールフィルター)で濾過してから熟成させている点が最大の特徴。それだけとは言え、ジャックダニエルでは1滴ずつ10日間もの時間をかけて濾過している。これによって、アルコールに含まれる雑味を取り除き、マイルドな味わいを実現しているのだ。

バーボンの中にも、ジョニー・ドラムのようにヒッコリー(北アメリカ原産のクルミ科の樹木)の炭などで濾過しているものはあるが、蒸留直後に、テネシー州産サトウカエデの炭で行うところが、テネシー・ウィスキーたる所以だ。
サトウカエデは、樹液から砂糖(メープルシュガー)が取れるカエデ科の樹木。そのためか、ジャックダニエルにも甘い風味がある。

ジャックダニエル本社のあるムーア郡は、いわゆるドライ・カウンティで、禁酒法以来、お酒の販売が禁止されている郡の一つ。ケンタッキー州もおよそ3分の2がドライ・カウンティと言われており、世界に冠たるウィスキーの産地で酒が飲めない、という皮肉な状況になっている。

自分もジャック・ダニエルは昔からお気に入りの銘柄で、今でもたまに飲んでいる。
2年前、六本木のBARで初めて飲んだのが、ジャックダニエルの上級バージョンであるモノグラムだ。黒革を着たボトルは、高級感があっていかにもカッコいい。
ボトルのデザインは、「ジャック・ダニエル・シルバー・セレクト」もデザインしている、サンフランシスコ在住のマイケル・オズボーン氏。

アルコール度は47度。通常のジャックダニエルが2004年以降、それまでの43度から40度に軟化したのに対し、こちらはあくまで硬派路線。ジャック・ダニエルやジェントルマンジャックに比べ、香りも味わいもより深味があり、上品に仕上がっている。

モノグラムは、本来アメリカ本国とシンガポール向けに限定発売されたものだが、ネットでは5,500円くらいで入手できる。

→JACK DANIEL'S
http://www2.jackdaniels.com/home.asp