阿佐ヶ谷は、大きな居酒屋こそ少ないが、美味しい日本酒を厳選して揃えた小さな居酒屋や小料理屋の充実度には感心させられる。自宅からも職場からも距離があるのが恨めしいほどだ。
数あるそんな店の中から、まずは「燗酒屋」をご紹介したい。

場所は、阿佐ヶ谷駅北口に出て、正面にある「パサージュ」手前の路地を左に入って200mほど進むと、左手の角にある。縄のれんのかかった間口一間ほどの小さな店だ。
店内は、L字のカウンターに8席ほどの小料理屋風。奥に小上がりがひとつあるが、女将1人で切り盛りしていることもあり、もっぱらカウンターが利用されている。

開店は、2005年12月末。まだ2年少々しか経っていな店だが、既に地元に根付いた落ち着きを感じさせる。
女将の典子さんは、いつも和服に割烹着姿だ。元々は神楽坂で修行を積んだらしい。控え目ながら、必要なことはしっかり伝えてくれて、細やかな心遣いを見せてくれる、その距離感が心地いい。
女性客でも違和感なくなじめてしまうのが、なんとなく納得できる。

ここは、お酒の価格が明朗なのが、飲兵衛にはありがたい。
本醸造(小)が550円、純米(小)が620円、吟醸・純米吟醸(小)が750円の均一価格なのだ。それぞれ、種類や飲み方(冷や、お燗など)を伝えると、3~4種類の瓶を出してくれるので、そこから好みの銘柄を選べばいい。(小)の量は7勺ほどで、(大)だとその倍になる。
季節に合わせた呑み比べセットも用意され、今だと「春の新酒呑み比べセット」(3銘柄・900円)がある。

銘柄は日によって替わるが、店名の通りお燗に向いた銘柄を中心に、美味しいものばかり揃えられている。
先週あった銘柄は、初孫根知男山月の輪・呑平、大七天穏…など10種類ほどだろうか。
銘柄は時期によって入れ替わるが、竹鶴、鶴の友、白鷹 米鶴、浪の音、黒龍、鳳凰美田、奥の松、村祐、豊盃、谷川岳、墨廼江、幻の瀧…など、いずれ劣らぬ銘酒の中からセレクトされる。

焼酎は、芋が「一刻者」、麦が「八重丸」(各580円)、ビールはスーパードライ(500円)、ヱビス(600円)、ギネス小瓶(600円)。
種類は少なくても、なるべく手頃で美味しいものを、という気持ちが感じられる。

料理は、季節のお刺身や天ぷら、煮物、焼物、揚物、おひたし、珍味、冬は小鍋…と、幅広い。価格は、各480円~880円でほぼ納まる。
酒の肴に合うものが多いし、天ぷらを塩でも食べられたりと、食事でもなかなか楽しめるので、独り者などにはたまらないかもしれない。
ついつい立ち寄りたくなる、ホッと一息つける店というのは、こういう店だろう。

この店はホームページが無いし、電話番号も非公開。
女将1人で切り盛りしているため、営業時間中の電話になかなか出られないからのようだ。電話番号は店に行けば教えてもらえる。
営業時間は、17時~23時(22時半ラストオーダー)で、日曜・祝日がお休み。