好き嫌いがハッキリ分かれるアーティストは珍しくないが、大多数に嫌われることを少しも恐れず、ダサさと紙一重のカッコ良さを堂々と追求している。それが、クレイジーケンバンドの持ち味だろう。

リーダーは、元クールスRCの横山剣。「遅れてきた昭和歌謡」とも評される男くささあふれる曲は、ほかに真似ができない不良中年バンドとして、一部に熱狂的なファンを持つ。

昔のキャバレーのステージが似合いそうな歌謡バンドのテイストを色濃く残しながらも、1曲ごとにソウル、ファンク、ロックンロール、ブルース、R&B、ロカビリー、ラテン、ボサノバ、ジャズ…といった音楽要素も自由奔放に取り入れ、独自の世界観を作り上げている。そういう意味では、一見ジョーク音楽っぽく装いながらも、実はかなり実験的で緻密に練られた音楽を追求しているのだろう。

メンバーは総勢12人。リーダーである横山剣が、作詞・作曲・編曲・キーボード・ボーカルを担当している。
初期からのメンバーは、小野瀬雅生(ギター・キーボード・コーラス)、新宮虎児(ギター・キーボード)、中西圭一(サックス・フルート)、洞口信也(ベース)、廣石恵一(ドラム・パーカッション)。
ほかに途中加入したメンバーとして、高橋利光(キーボード)、菅原愛子(ボーカル・コーラス)、スモーキー・テツニ(ボーカル・コーラス)、河合わかば(トロンボーン・フルート)、澤野博敬(トランペット・フリューゲルホーン)、伊達弦(パーカッション)がいる。
他のバンドと掛け持ちしているメンバーもけっこういるようだ。

結成は、1997年の横浜・本牧。当初は「ゲロッパ1600GT」といういいかげんなバンド名だったらしい。
2002年のシングル曲『タイガー&ドラゴン』が2005年春にTBSでTVドラマ化され(出演は長瀬智也、岡田准一ほか)、「俺の話を聞けぇ~!」という強烈な主題歌で、一躍注目を浴びた。この曲は、和田アキ子など複数のアーティストにカバーされている。
逆に、和田アキ子の『あの鐘を鳴らすのはあなた』も、映画『歓喜の歌』の主題歌として彼らがカバーしており、iTunesStoreなどの配信限定で今年リリースされた。

昨年は、TVドラマ『今週、妻が浮気します』のエンディング・テーマ「てんやわんやですよ」が、初めてオリコンチャートのトップ10入りを果たし、ドラマや映画の仕事が増えているようだ。
春に公開された映画『純喫茶磯辺』でも、テーマ曲を含めた映画音楽をプロデュースしている。

これまでほぼ年1枚ペースでアルバムを発表してきた彼らだが、8月13日に10枚目のアルバム「ZERO」がリリースされる。
決してカッコつけず、茶化してみたり、ふざけてみたり、わざとハズしてみせるのが、彼らにとってのカッコ良さ。今や死語に近い硬派の粋が、彼らの曲からは漂ってくる。

彼らの濃厚な曲には、やっぱりウィスキー焼酎のような男くさい酒がよく似合う。
昔からバカやって遊んでいたような男同士で飲み明かすには、きっと格好のBGMになるだろう。

→クレイジーケンバンド公式ホームページ
http://www.crazykenband.com/