「いい店、知らない?」と人に聞かれて、自信を持って勧められる店が何軒あるだろうか。
もし場所が築地で良ければ、「やまだや」を紹介すれば事足りる。

最初に、この店の欠点になりそうな点を挙げておく。
隅田川に近い築地にあるので、交通の便はあまり良くない。平日でも空席がほとんどないため、予約は必須。料理のボリュームが大めなので、4人くらいで行った方がいい。勘定は決して高くないが、安いというわけでもない。

少なくとも自分には、これ以外に文句のつけようがなかった。
常に満席なので、料理が出てくるまで少々時間がかかることもあるが、スタッフの動きもサービスもいいので、文句を言う気になれない。
しかも、出て来る料理はどれも美味い。酒も、手頃な値段で出せる美味しい銘柄が厳選されている。
店はオシャレというほどではないが、デートにも充分使えるキレイな造り。カウンターは奥行きがあり、料理を置くスペースに困らない。

場所は、晴海通りの勝どき橋手前の信号を左折して約200mの左側、2つ目の信号の手前。
入口を入ると左側にテーブル席、右側にカウンター、ほぼ正面に小上がりの座敷席がある。小上がりは1卓しかないので、ちょっとした独占スペースだ。

店主の山田佳延さんは、父親が築地市場の仲買人だったそうだ。大阪の調理師学校でフレンチを学び、卒業後「キハチ」で3年、中華の「麻布長江」で2年、更にアメリカ料理の「レリノス」、居酒屋「十干」と幅広く修行を積み、1999年に慣れ親しんだ築地で店を構えた

料理はどれも美味しいが、名物を挙げるなら、手作り帆立貝クリームコロッケ(4個で840円)。これを頼まないお客はほとんどいない。自分のように1人客の場合は、1個だけでも注文を受けてくれる。これは、ほかのメニューも同じで、刺身の盛り合わせは通常各4切れずつで1,890円だが、「2切れ×4種類」といった融通を利かせてもらえた。

料理には、鮪ホホ薬味ステーキ(1,365円)といった大物もあるが、レバームース(5個・840円)や、自家製豆腐の味噌漬け(4個・756円)といった小品もあり、これがまたシビれるうまさ
刺身には韓国・百済の塩を、鰹のタタキには英国マルドンの塩を合わせるといった、細部までのこだわりが活きている。(この塩があまりに美味しく、それだけでもツマミになってしまう。)

築地には毎日足を運び、父の代から付き合いのある仲買人たちから、安くていい物を選りすぐって仕入れている。素材へのこだわりは市場にとどまらず、毎年1回はスタッフと野菜の産地まで畑を見に行くそうだ。
お酒も同様で、焼酎なら鹿児島の蔵元を訪ねて芋掘りを手伝い、ワインならフランスで葡萄の収穫から醸造まで体験した上で仕入れているというから、もはや脱帽。

グラスワインは525円から。ボトルワインは4,000円台~8,000円台まで、白・赤それぞれ3種類ずつ用意されている。自然農法で作られているワインが多く、コスト・パフォーマンスの高いものが選択されている。
メニューにあるクレマンは、シャンパーニュ地方以外のフランス国内で、シャンパーニュと同じ製法で造られた発泡性ワインのこと。下手なシャンパンより美味しいものも多く、値段はずっと割安だ。

日本酒は、新潟の「清泉(きよいずみ) 」特別本醸造(525円)、埼玉の「神亀(しんかめ) 」純米(735円)、岩手の「酉与右衛門(「酉与」で一字。よえもん)」特別純米・吟ぎんが(735円)、奈良の「風の森」(08/1/30紹介)純米・アキツホしずく酒(735円)、島根の「ヤマサン正宗」純米吟醸・佐香錦(787円)、徳島の「高柿木(たかがき)」生もと造り・純米生原酒(892円)など。
こちらも見事なコスト・パフォーマンスに惚れ惚れする。量は1合弱だが、半分で半額という注文も可能だ。ぬる燗もOK。

生ビールは、キリン・一番搾り(525円)、サッポロ・エビス黒(630円)、ハーフ&ハーフ(577円)。このほか小瓶の地ビール(大体630円)も用意されており、今は茨城の常陸野ネストビール「ペールエール」が飲める。

焼酎は鹿児島の「千亀女(せんかめじょ)」が芋・麦の両方そろっている(グラス525円、1合945円、黒じょか682円)。それ以外の焼酎は日によって変わるようだ。(グラス各630円)

いい店で飲む幸福に酔いしれたいなら、ぜひ予約して訪れてみてほしい。

→livedoor グルメ/やまだや
http://gourmet.livedoor.com/restaurant/4253/