昔ながらの大衆居酒屋のたたずまいを濃厚に残しながらも、1本筋の通った骨太さを感じさせてくれる飲み屋が、新宿の「樽一」だ。
場所は、新宿・歌舞伎町。靖国通り沿いのドン・キホーテの角から「セントラルロード」をコマ劇場方面に進み、左側3軒目にあるビルの5階だ。

創業は1968年(昭和43年)。先代の店主が、宮城の銘酒「浦霞」と、「三陸の海の幸」と「鯨料理」、この3つを楽しめる店をということで開店したそうだ。
これが往年の飲兵衛たちの評判を集め、今や名居酒屋として若者から年配の客まで、幅広い客層に熱く支持されている。

暖簾をくぐって店に入ると、まずは4~6人用のテーブルが並べられたフロアがあり、その奥が小上がりと座敷になっている。総席数は100席とけっこう広く、宴会は40人まで対応する。
周囲の壁には、所狭しと短冊が貼られており、賑やかなことこの上ない。

年季が入ったいかにも老舗居酒屋らしい内装だが、店内は清潔で手入れが行き届いており、チープな印象はない。事実、大衆居酒屋としては値段も高めだが、これだけの種類の魚料理が食べられる店はちょっとない。肴のメニューは約300種だとか。

一番の名物で、尾の身から睾丸まで、あらゆる部位を食べることができる。
ほんの一例を挙げると、赤身造り(1,580円)、本皮(840円)、さえずり(840円)、ベーコン(1,050円)。鯨ステーキ(150g・3,150円)、本皮やわらか煮(840円)、さらし鯨(740円)、脳味噌揚げ出し(790円)、ハリハリ鍋(2,620円)、鯨寿司(2カン・840円)…など、実に多彩だ。
鯨料理だけではなく、魚料理をはじめとするほかの料理もすごい。旬のものなら、ほとんどの魚が食べられるし、大衆居酒屋で見かけるメニューが網羅されている感じだ。

日本酒は、まず看板である「浦霞」が全種類揃っている。純米酒(740円)、生貯蔵酒、荒走り(各840円)、純米吟醸の禅(1,050円・小グラス550円)…等々。
ここでしか飲めない名物「原酒金ラベル」(680円)は、おそらく本醸造の原酒だと思うが、味は悪くない。店の客の半分近くがこれを注文するというのも理解できる。
一番高い浦霞は、「エクストラ大吟醸」(1,680円・小グラス890円)。

「浦霞」以外にも、50種類ほどの地酒が揃っている。
菊水・本醸辛口(630円)、天覧山・純米(630円)、富久長・純米(730円)、久保田・千寿(740円)、清泉・純米酒(740円)、七田・純米無濾過(740円)、南部美人・純米吟醸(740円)、八海山・本醸造(740円)、龍力・純米(790円)、東力士・純米(840円)、越の寒梅・本醸造(840円)…ほか多数。

吟醸酒も数多く揃えられているが、千円を超えるものが多い。ただ、そうした高額品は小グラスでも飲注文できる。
3年物や5年物の古酒も5種類ほど揃っている。(630円~750円)

生ビールは420円より、 ウーロンハイは480円、各種サワー類は520円だ。
焼酎は、芋がくじら(630円)、吉兆宝山(650円)、麦が一粒の麦(520円)、松露黒麦(550円)、米が天草(630円)、黒糖が里の曙(630円)などで、いずれもボトルでも注文できる。

昔は池袋や新宿にも支店があったのだが、現在は新宿店だけになってしまった。
美味しい酒と魚を堪能したいなら、ここは理想的。誰もが心ゆくまで酔えるに違いない。

→樽一
http://www.taruichi.co.jp/