今年も、今週から銀圓亭にカキフライが登場した。10月中旬~3月までの限定メニューだが、この時期になると毎年訪れるというファンも多い。

銀圓亭は、銀座の昭和通り近くにあった高級洋食店だが、2006年12月に銀座5丁目のビルに移転した。あのレディタン ザ・トトキと並木通りを挟んで向かいにある。

エレベーターを7階で降りると、いきなり店の受付が向かいにある。出迎えてくれるのは、年配のご婦人。かつては老シェフと老支配人のコンビが名物となっていたが、最近亡くなられたそうだ。

店は、右奥がオープンキッチンとカウンター。カギ型のフロアには、2人用テーブルを並べた4人卓が、8卓ほど並んでいる。
窓は小さく、店内への光は控え目。照明も間接照明なので、昼間でも落ち着いた雰囲気だ。
木のテーブルにはクロスが無く、エスニック風のランチョンマットとナプキンがセットされている。シーリングファン(天井扇)ともあいまって、リゾート・ホテルめいた内装だ。同じ高級洋食店でも、資生堂パーラーよりカジュアルで居心地がいい。

「伊勢的矢産カキフライ(2,800円)」は、最高級の的矢のカキを、注文を受けてから殻をはずして揚げる。
待っている間に、まずスライスされたフランスパンが出される。ポテトチップのように薄く、カリッと揚げられており、うっすらチーズ味が付いたものだ。(2枚目の写真の奥にあるのがそれ。)
カキフライは1人前6個。衣は薄くて明るい色をしており、パン粉がとてもサクサクしている。油っぽくなく、とても軽い仕上がりだ。付け合わせは、さやいんげんと人参のソテー、それにフライドポテト。パセリとカットレモンも添えられる。
ライスやパンは別注文(300円)になるので、もし注文するなら、細かく刻まれた赤パプリカの入ったソテーライス(600円)がおすすめだ。

調味用に、REA & PERRINSのソースと自家製タルタルソースが提供される。REA & PERRINS(リーペリン)は、「ウスターソース」を開発した英国のメーカー。原材料に醸造酢、たまねぎ、ニンニク、アンチョビ、砂糖、塩、スパイスなどが使われていて、ちょっと魚醤っぽい味がする。香りも強いので、このカキフライに限っては、風味を損なってしまう気がする。
それに対して、自家製タルタルソースは素晴らしい刻まれた玉子がたくさん入った濃厚な味で、これをたっぷりカキフライに載せて食べると、一層味わい深くなる。

これだけの牡蠣だから、もちろんフライだけではなく、生で味わうこともできる(2,400円)。
亡くなられた萩本光男(はぎもと・てるお)シェフは、小川軒で腕を磨いた名シェフで、自らの料理を「究極のマンネリ」と評していたという。このレベルの料理を常に提供するというマンネリは、決して簡単なことではないだろう。高価な店だが、それだけの価値はある

カキフライだけでなく、もちろん他の料理も美味しい。ビーフシチューやハンバーグといった平凡な料理を、非凡な味で提供してくれる。
先週の流れで言えば、ハヤシライス(2,200円)もある。ここのハヤシライスは、丸く盛り付けられたライスの皿と、ソースポットで提供され、付け合せはなし。ルーは粘度が低く、ややスープっぽい感じ。具にはマッシュルーム、玉葱、牛肉がたっぷり入っている。マッシュルームは香り豊かで芳しく、玉葱は透明がかった飴色。牛肉は、生でも食べられるほど上質な肉を6時間煮込んであり、メチャクチャ柔らかい

400mほど離れた同じ並木通りの1丁目にある居酒屋三州屋も、カキフライ定食は人気メニューだ。こちらは1,100円で、牡蠣は5個。付け合せはキャベツ、キュウリ、トマト、ミカン、パセリが入ったサラダ。それに、白菜と胡瓜の漬物、ご飯、なめこの味噌汁、お茶がセットされる。
さすがに銀圓亭と比べるのは酷だが、気取らずにお腹を満たしたいなら、こちらもおすすめだ。

→銀座.info:南蛮 銀圓亭
http://www.ginza.info/S11337.html