このブログで最初にご紹介した居酒屋「しんばし光寿」の姉妹店が「かんだ光壽」だ。最初にできたのは新橋の方だが、現在店主がいるのは神田になる。

姉妹店だけに共通点は多いが、新橋は純米酒中心、神田は純米吟醸・大吟醸酒中心という品揃えからも分かるように、こちらの方がよりマニアックな店になっている。

店は、「神田駅北口」交差点から神田平成通りに沿って岩本町方面に進んだ右側。駅から歩いて100mあまりだが、営業中でも暖簾が戸の内側にあり、看板も目立たないので、店先に下げられた杉玉を目印にするといい。

引戸を開けて暖簾をくぐると、郷愁を誘うような田舎家風の造り。照明も暗めだ。
入って左側に7席ほどのカウンターがあり、右手には4人用テーブルが6卓ほどある。
平日でも夕食時はほぼ満席なので、1人ならまだしも複数なら予約しないとまず入れない。

初めて光壽を訪れる人がまず驚くのは、お通しの豪華さ。1,280円という価格は高く思えるかもしれないが、内容を見ればむしろ安い。(注:この店のメニューはすべて外税表示)
一昨日のお通しは、大根と鮟肝の煮付け+名物・6種の小鉢盛り合わせ(ししゃも焼き、野沢菜のクリームチーズソース、魚の煮こごり、つみれの煮浸し、烏賊の塩辛…など)。
光壽は両店とも料理の種類が余り多くないが、お通しがたっぷりあって美味しいので、つまむ程度ならほかに何も頼まなくても済んでしまうほどだ。

日本酒は、どれも素晴らしい銘酒ばかり。特に斗瓶取りと呼ばれる最高クラスが多いが、ここでは1杯がグラス(120ml)かショット(60ml)という少なめの設定なので、割と手頃な値段から飲める。(1合での注文も可能。)
十四代の本丸だとショット260円という話だから、値付けも良心的。

一昨日、最も安かったのが醸し人九平次「件の山田」のグラス680円/ショット360円。次いで、・純米大吟醸 斗瓶取り・選抜生原酒(限定30本物)などの820円/420円。東一・純米吟醸山田錦49%などが880円/450円。・内山杜氏選抜・斗瓶取りスペシャルをはじめとした、980円/520円は中心価格帯。佐藤彰洋・大吟醸14BYなどが1,200円/620円。鳳凰美田・大吟醸フェニックスなどが1,400円/720円。辻善兵衛・櫻川大吟醸(光壽限定酒)など、1,600円/830円もけっこう多い。一番高いもので、初亀・純米大吟醸「亀」5年目の1,800円/930円だった。

「14BY」や「5年目」とあるのは、店で熟成させた酒だ。本物の日本酒は、熟成させることでより味が乗ってくるものが少なくない。この店では-5℃の保冷庫に、常時約20銘柄・約200本の酒を寝かせていて、ワインのように飲み頃を見計らって店に出している。
「14BY」は「ブリュワリー・イヤー(酒造年度)平成14年」の略で、平成14年~15年にかけての冬に仕込まれた酒を意味する。

また、酒蔵では通常いくつもの大型タンクで酒を造り、それを混ぜて出荷している。同じように仕込んでも、タンクによって微妙に差ができるので、味を均一化するためにブレンドするのだ。
ところが、懇意にしている取引先が酒蔵を訪れ、気に入った味のタンクを指して「これを他と混ぜないで、そのままウチにくれ」などと言い出す場合がある。それが限定30本といった希少酒となる。

そんな酒がふんだんにあるこの店は、日本酒愛好家にとって、まさに垂涎の店だろう。

→かんだ光壽
http://www.kohju.com/