ワイン好きにとって悩みの種は、安くて美味しいワインがなかなか飲めないこと。居酒屋では、値段は安いものの美味しいワインは余り期待できない。ワインバーなら美味しいワインが期待できるものの、けっこう高いし、1~2人ではボトルもなかなか頼めない。
気取らない雰囲気で、美味しいワインを安く飲めないものか…。

そんな人は、ガード下に行ってみよう。美味しいワインが驚くほど安く飲める店がある
神田のガード下に店を構える、その名も「があどした」だ。

JR神田駅の南口を出ると、東京方面に向かうガード下に飲食店が並んでいるのが見えるはず。手前から3~4軒目に「があどした」がある。ちょうど立呑み「ます屋」の向かいだ。
外観は写真通り、鉄のドア1枚のみ。注意していなければ、気付かずに通り過ぎてしまうこと必至。たとえ気付いても、通りすがりにこのドアを空ける勇気はなかなか出ないだろう。

ドアを開けると、年季の入った店内だ。4人用のテーブル2卓に、カウンター5席のみ。壁にはワインのラベルやポスター、クーラー…先週は、今月発売されたばかりのCD「ウルトラマン・オン・ブラス」のポスターも貼ってあった。このCDで指揮をしている矢澤定明さんが、お客の1人なのだそうだ。彼の先生である佐渡裕さんが店に来た時の写真も貼ってあるので、意外と藝大のお客が多いのかも?

開店から20年間、カウンターを仕切るのは、店主の石井寛一さん。コワモテの風貌に加え、歯に衣着せない物言いで、名刺の肩書きも「おやじ」。頭に「頑固」が抜けていそうな気もしてくる。
元はワインメーカーのビジネスマンだったそうで、ワインに詳しいことはもちろん、当時の人脈を活かして美味しいワインを格安で提供してくれる。

通常、グラスワインは6種類用意されているのだが、ちょうど今は特製ワインセーバーが故障中とのことで、白がブルゴーニュのGIVRY、赤がチリのMontesAlpha(シラー)の2種類しかなった。
ここのワインセーバーは、ボトルに窒素を注入することで酸化を防ぎ、抜栓後も品質を落とさず、最後の1杯までグラスワインを提供できる。今週中には直るという話だった。

ボトルワインは、壁の大きな紙3枚に羅列されている。ざっと60~70種類くらいはあるだろうか。多くは3,000円~9,000円で、ボルドーの格付けワインでも、ほとんどはこの範囲に納まる。例えば、99年シャトー・べレールが4,500円、96年シャトー・クロワゼ・バージュが9,000円…など。
この店の提供価格は市価のほぼ倍だから、店で出す価格としては底値と言っていい。

ハーフボトルも10種類近くあって、こちらにも格付けワインが含まれている。シャトー・マルキ・ド・テルムのハーフが4,000円、シャトー・トロットヴィエイユはもっと安かった。
別格の高級ワインも、10種類ほど置いてある。中には、高級フレンチ・レストランでなければ普通お目にかかれないような銘柄まで…。
ワイン以外はビールくらいしかないが、常連客の要望に負けて、日本酒久保田・千寿」と、芋焼酎「さつま白波」だけは置いてあった。

料理はカウンター内のボードに書き出されていて、17種類ほど。こちらも500円~1,000円。黒豚の紅茶煮、キノコバター、牡蠣のトースト、鶏なんこつ揚げ、フライ盛り合わせ、イタリア風オムレツ、焼きそば、チーズ盛り合わせ、肉しゅうまい、塩辛スパゲティ、柿の種…と、見事なバラバラぶりが楽しい。

実はここは支店であり、本店が100mほど先の同じくガード下今川小路にある。本店は奥様の久美子さんが切り盛りしており、支店とは料理などが微妙に異なるが、安くて美味しいのは同じ。テーブルは1卓しかないが、カウンターが8席ほどある。

ワインバーにしては客にオヤジが多いが、もちろん女性もいる。花より団子というワイン呑みには、こたえられない店だ。

→食べログ:があどした
http://r.tabelog.com/tokyo/A1310/A131002/13056505/dtlrvwlst/699500/