今年も、惜しいところで掲載を見合わせた店がいくつかあった。
今回は、人気の高い銘酒居酒屋にも関わらず、掲載しなかった店を2店挙げておきたい。

1店目は、浅草「ぬる燗」。
5年前の今日、大晦日に仮開店した文字通りお燗が売り物の居酒屋だ。
店主である近藤謙次さんの日本酒に対する知識・技量・愛情はいずれも評価が高く、ファンも多い。奥様と二人で切り盛りする店には、この店のぬる燗を愛する常連たちでいつも賑わっている。

日本酒の銘柄は20種類はあっただろうか。銘柄の選択も良いし、さりげない店でありながら、落ち着いた品格も感じられる。
自分の目から見てもなかなか魅力的な店だったのだが、この店を掲載しなかった理由はただ1点おススメの銘柄を挙げてもらえなかったことだ。

日本酒に詳しい人ならまだしも、この店の数多い銘柄を見て迷う人は多いだろう。
訪れた際、一緒だった女性が「最初に飲むなら、どれがいいですか?」と尋ねたのだが、「うちはお客様にお任せしておりますので」の一点張りで、ついに銘柄をすすめてもらうことができなかった
助言を求めているお客の要望に応えないというのはいかがなものか…?

人によって好みは千差万別だから、おすすめというのは確かに難しい。だが、好みの味や、注文した料理を尋ねてでも、いくつかの候補を挙げてほしいのがお客の心理。それが初見の女性客となれば尚更ではないだろうか。(その女性は、たまたま日本酒にかなり詳しかったが…。)
おそらく、これだけの店を構えているのだから、何らかの考えあってのことだろうと思うが、それならお客が納得できるような理由を示してほしかった。

2店目は、四谷「萬屋おかげさん」。
おでんが人気の新宿「世代屋」でマネジャーを務めていた、神崎康敏さんが独立して開いた店だ。
こちらも素晴らしいお酒と料理、そしてお燗の腕前で知られている人気店で、予約を取るのも一苦労するほど。居酒屋でありながら全面禁煙という英断も評価したい。

こちらで自分が引っかかったのは、初めての1人客に値段を提示しないまま「刺身の盛り合わせ」を勧めたことだ。もちろん、「お幾ら?」と尋ねたらすぐに答えてもらえたのだが、1人客に刺し盛を勧めるなら、量を半分にして値段も安くするといった融通を利かせることも考慮してほしかった。(さりげなく打診してみたが、これは断られた。ちなみに、築地「やまだや」などでは、店側から「切り身の数を減らしてお安くすることもできますので」と案内してくれた。)
ただ、後で隣席に運ばれた刺し盛が余りに旨そうだったため、改めて注文してしまったことは、付け加えておこう。

いずれもそれ以外は素晴らしい店であったからこそ、こうした小さな点が気に掛かってしまったのかもしれない。
若くして早くも名店の予兆を感じさせる2つの店だけに、更なる向上を望んで敢えて厳しく苦言を呈した。
2店にはまた必ず再訪し、近い将来、改めてきちんと紹介できることを期待したい。

今年もブログのご愛読ありがとう! 来年も良いお酒を!

→ぬる燗
http://www5.ocn.ne.jp/~nurukan/honkan.html

→萬屋おかげさん
http://www.okagesan.net/