居酒屋の価格を比較したい時、目安となる銘柄がある。新潟・朝日酒造の人気銘柄「久保田」だ。
兵庫や京都の大手メーカーが上位を占める日本酒業界で、朝日酒造の出荷量は全国15位、新潟では1位。しかも、「好きな日本酒」といったランキングでも、「久保田」は常に3位以内にランクされている。

1985年に誕生して以来20余年、今や質・量ともに日本を代表する銘柄となった「久保田」。それだけに、日本酒にある程度配慮している居酒屋なら、大抵の店に置かれている。つまり、「久保田」の値段を比べてみれば、その店の価格帯がほぼ分かるというわけだ。

一口に久保田と言っても、6種類ある。「百寿」「千寿」「萬寿」という数の名が付けられた3つが有名だが、このほかの名が付いたものも3つあるので、簡単に紹介しておこう。
左から、商品名:特定名称、精米歩合、メーカー希望小売価格の順だ。

 百壽:本醸造、63%、2,026円(一升)/934円(四合)
 千壽:特別本醸造、57%、2,446円(一升)/1,092円(四合)
 紅壽:特別純米酒、55%、3,339円(一升)/1,512円(四合)
 翠壽:大吟醸生酒、42%、2,835円(四合)※4~9月限定
 碧壽:純米大吟醸山廃仕込、50%、5,071円(一升)/2,247円(四合)
 萬壽:純米大吟醸、35%、8,169円(一升)/3,664円(四合)

昔は「百壽」も多く見掛けたが、最近は「千壽」にシフトしてきており、単に「久保田」と言った場合は、千壽を指すことが多い。ただ、大衆居酒屋では百壽の場合もあるので、注意が必要だ。
ちなみに、紅・翠・碧という色名は、それぞれ「玉」を付けると宝石の名前になる。(紅玉=ルビー、翠玉=エメラルド、碧玉=サファイア)

旨さで言えば、やはり萬壽の評価がダントツで、かつて「おいしい日本酒」人気投票で1位だったのを見た記憶がある。その分価格も高く、1杯1,500円以下で出している居酒屋は、まずお目にかかれない。

コスト・パフォーマンスが高いのは、紅壽だと思う。紅壽は純米な上に、6種の中で唯一、原料米に山田錦が使われている。(ほかは五百万石。)ただ、翠・碧より多いとは言え、萬壽の半分以下、千壽の1割以下の出荷量なので、出会えることは少ない

付け加えておくと、朝日酒造では「久保田」の上位に「得月(とくげつ)」「洗心(せんしん)」「呼友(こゆう)」という限定酒がある。価格はいずれも4合瓶で4,294円、4,935円、6,720円。もし、これらの1つでも置いてあれば大したものだが、1杯2千円以上は確実にする。

価格を比較する場合、店によって1杯の量は微妙に違うので、そこは注意が必要だ。1杯が0.7合の店だったら、価格を約1.5倍しなければ1合の店とは比較できない

朝日酒造は、新工場を建設して仕込を増やすと共に、05年には翠寿の酵母を変更したり、06年には千壽の麹精米歩合を50%に高めるなど、より質の高い酒造りを心掛けている。海外にも19ヶ国に出荷しているそうだ。
どこかの名酒のように、人気と反比例して質を落とすことのないよう、今後ともぜひ頑張ってほしい。

→朝日酒造
http://www.asahi-shuzo.co.jp/