通りすがりに偶然入った居酒屋当たりだった時は、ちょっと儲けたような気分になる。この前、大して期待もせずに入った路地裏の居酒屋に、意外な美酒が溢れていた。こういうことがあるから、面白い。

場所は、神田駅のすぐ近く。JR神田駅北口を出てY字路の左側を進み、最初の角を左に曲がって路地に入ると、中ほどの右手にある「むら治屋」がそこだ。
この日は、別の店が目当てで神田を訪れた。ところが、その店が無くなっており、帰る途中でたまたまこの店の前を通りかかったのだ。

店の前に一升瓶が置かれていたのだが、「うごのつき」「和和和」などが目に入った。「うごのつき」は広島の銘酒「雨後の月」のことで、純米吟醸などを中心にこの平仮名ラベルのシリーズがある。「和和和」は長野の「深山桜」の酒で、やはり純米吟醸を中心とした限定酒に使われているラベルだ。選択がいい上、いずれも多く出回っている品ではない。

そこで、急遽飛び込みでこちらの店に入ってみた次第。店の構えは何の変哲もない居酒屋なので、この瓶がなければ、おそらく見向きもしなかったと思う。
店内は、厨房に面したフロアと、その裏に隠れたフロアの2つに分かれている。手前のフロアに4人用テーブルが5卓、奥のフロアには4人用が2卓と、2人用が4卓ある。
いかにも神田の店らしく、壁にはの道具や写真が飾られていた。

メニューには、12種類ほどの日本酒が書かれている。
銘柄は、辛丹波(500円)、浦霞辛口(650円)、一ノ蔵(600円)、大七きもと(700円)、鳳凰美田(800円)、陸奥八仙(850円)、十左衛門(750円)、白岳仙(850円)、宝剣(800円)、小左衛門(800円)、(750円)、(800円)。

悪くないラインナップだが、「うごのつき」や「和和和」といった、ひとひねりあるものがない
そこで店主に聞いてみると、メニューに書かれていない日替わりの地酒があり、全部で60銘柄を超えるという。フロアの角に3台の冷蔵庫が置かれており、中を見ると、あるある!
十四代・中取り純米、而今・9号酵母無濾過生、刈穂・山廃生原酒、淡墨・長寿桜の原酒生酒、くどき上手・ばくれん、末廣・うぶ、亀齢萬年、仙禽、壽、羽根屋、阿櫻、美和桜、山吹極、賀茂金秀、渡舟…。

純米や純米吟醸がほとんどという、嬉しい品揃えだ。価格は1杯850円くらいが中心で、一杯の量は8~9勺。
銘柄一覧はホームページで、新着情報はブログでそれぞれ確認できる。

焼酎はシングル450円、ダブル800円の均一価格。もぐら、明るく農村、風憚、香幻、屯(かむろ)、しめの尾、暁、吉兆雲海…など、こちらもひとひねりある銘柄が揃う。

料理は、知覧鶏(880円)や、馬刺し(1,800円)が売りのようだ。刺身のケンが、よくある大根ではなく蓮芋のスライスだったり、料理の方にもちょっとヒネリを利かせてある。

店主の大曽根勝洋さんは、50歳を過ぎて本屋を脱サラし、好きな酒を集めてこの店を開いたそうだ。ホームページに、ブログに、mixiもやっていて、意外にデジタライズされた親父でもある。
神田の路地裏にあって目立たない店だが、地酒好きにこんなサプライズは嬉しい限りだ。

→神田・むら治屋(ホームページ、ブログ)
http://murajiya.hp.infoseek.co.jp/
http://murajiya.seesaa.net/