「宇ち多゛」など、モツ焼き系大衆居酒屋で有名な立石だが、美酒を揃えた店も少数ながらある。奥戸街道沿いの「さくらい」は、頑固親父が1人で切り盛りする居酒屋だが、美酒を下町価格で飲ませてくれる。

場所は、奥戸街道の「京成立石駅前」交差点から本奥戸橋方面へ100mほど歩いた左側。下町の居酒屋らしい造りで、4席ほどのカウンターに4人用のテーブルが3卓ほどあるだけの小さな店だ。

カウンターの横、テーブルの前に冷蔵庫が置かれ、美味しい日本酒がちらちらと見えるのだが、ここで喜んではいけない。この店、日本酒のオーダーは基本的に店主まかせ。封の空いている2~3種類の銘柄からしか選べない
どれを選んでも美味しい酒ばかりだが、銘柄を自分で選びたい人には向かない店なのだ。

これは、お酒を劣化させないための処置。日本酒は、封を開けると時間を追って酸化していく。しっかり造った酒なら、ある程度酸素が混じった方が美味しくなるが、それはわずかな時間だ。後はどんどん味が落ちていくのが普通。特に生酒など、加熱殺菌をあまりしていないものは著しい。
だから、封を切ったお酒は、なるべく早めに飲み切った方がいいのだ。

お客がさほど入らない小さな居酒屋では、瓶に残ったお酒の劣化は避けられない。それを承知でお客に出すか、処分するかだ。当然、処分するリスクは価格に反映される。
この店では、そのどちらもしたくないために、こうした方法を取っているのだ。

十四代・純米吟醸、醸し人九平次・純米、飛露喜・特別純米、東一・純米吟醸、磯自慢・特別本醸造、辻善兵衛・世は満続、臥龍梅・吟醸、墨廼江・中垂れ…こうした美酒が、この店では全て1合700円の均一価格。この値段でこんな酒が飲めるなら、銘柄を選べなくても文句は言うまい

その代わり、店のホームページは毎日更新され、その日に飲める銘柄が明記されている。実際に店に行くと、既に品切れになってしまっていたり、新しい銘柄が加わったりしていることもあるので、あくまで参考程度だが。

接客から調理まで大将1人でこなしているため、混んでいる日は肴が出てくるまでに時間が掛かることもあるが、味はなかなかイケている。大将自身が酒好きのため、飲兵衛の好みは熟知しているようだ。
旨い酒とうまい肴が手頃な価格で楽しめるのだから、多少の不自由は納得の上で来店したい。

たまに、「蔵元を囲む会」といったイベントも開いており、それらもホームページの「店主の日記」で確認できる。

→地酒・小料理 さくらい
http://www.t-sakurai.com/