使い方によって、かなり印象が変わってしまう店がある。大宮の駅から30秒の居酒屋「とらぬ狸」は、そんな店の一つだ。評価が分かれる店とも言えるかもしれない。

場所は、大宮駅の京浜東北線ホームの向かい。駅東口から、最も与野駅寄りの階段を降り、線路沿いの路地に入ると、すぐ左側2階にある。いわゆる南銀座通りの裏手だ。

店自体はあまりにも普通の洋風居酒屋で、目立つところは何もない。
2階の入口を入ると、すぐ右手がレジ・カウンターで、左手はお酒の棚。棚の向こうは半個室のスペースになっており、奥のフロアと合わせて40人ほどのテーブル席がある。
開店は96年9月。当初は駅西口にあったが、少しして東口に移転した。

フロアは、3人ほどの男性スタッフがサービスに務めている。
店は、スローフードを掲げており、北海道の食材を豊富に揃えた料理と、厳選された酒が自慢だ。価格はいずれも居酒屋としては標準的で、安くも高くもないレベル。

日本酒は、久保田「千寿」(790円)、八海山・本醸造(790円)、男山・生もと特別純米(630円)、田酒・特別純米(790円)、麓井・純米生もと(840円)、出羽桜「桜花」吟醸本生(790円)、黒龍「いっちょらい」(840円)、高清水「しみずの舞」吟醸(950円)、・純米吟醸(900円)の9種類。
焼酎も、690円と790円で12種類ほど揃っている。「百年の孤独」だけは1,200円だった。

ここまでは特に珍しくない居酒屋であり、紹介するほどでもない。実は、この店の真価はワインにある。
メニューにあるのは、白ワイン10種類、スパークリング・ワイン(シャンパンとカヴァのみ)8種類、赤ワイン15種類で、なんとシャンパンも含めて、その全てがグラスで飲める。価格は、グラス750~2,650円、ボトルで2,950円~9,950円。

ワインを楽しむならワインバーが普通だが、たいていは価格が高い上、グラスで飲める種類が少ない。この店だったら、わらびのおひたし(480円)でもつまみながら、何種類ものワインをグラスで飲むことも可能だ。

店には、店長を含めてソムリエが2名おり、ワインへの力の入れ方は半端ではない。メニューに載っていない高級ワインもざくざくある。知らなければ、まさかこの店でロマネ・コンティが飲めるとは想像もつかないだろう。(01年・525,000円)

毎月20日前後には「レア!ワイン会」を開催しており、1万円で主にブルゴーニュのレア・ワイン5種類と、料理(3品+お食事+パン+Euro Art製チーズ+デザート)を楽しむことができる。

先月からは、それに「銘醸ボルドーワイン会」という企画も加わった。こちらはシャンパンとボルドーの格付けワインを計6種類味わえる。先月の第1回では、シャトー・ラトゥール75年をはじめとする格付けワイン4種類が勢ぞろいした。毎回9大シャトーの1つが必ず入るというから、ワインマニアには垂涎もの。こちらは15,000円の料金で、料理はワイン会と同様だ。(次回は9月予定)

ワイン好きは当然だが、プロのソムリエたちがこの店で宴会を開くことも珍しくない。
オシャレじゃなくても、美味しいワインを安く飲みたい花よりダンゴ派には、見逃せない店だ。

→北海道食大使 とらぬ狸
http://www.toratanu.com/