居酒屋の多さでは都内屈指の新橋だが、本物の日本酒と肴を揃え、大人が落ち着いて呑める上質な居酒屋となると、意外に少ない。そんな新橋の居酒屋事情に一石を投じてくれたのが「いし井」だ。

場所は、新橋のSL広場から烏森神社の路地に入り、神社の前を左折、1つめの路地を右に折れてちょっと歩いた左側。以前ご紹介した「長屋」のちょうど向かいになる。

店は間口が狭いうえ黒塗りの外観で、看板がなければ気付かずに通り過ぎてしまうこと必至。通りすがりに入って来る客も、まずいないだろう。狭い店なので、その方が好都合なのかもしれないが…。

ドアを開けると、手前から奥に続くカウンターに6席。その奥に2人用テーブル2卓と、6人用テーブル1卓が並んでいる。照明が落とされたJAZZバーのような雰囲気は、落ち着いて呑みたい夜にふさわしい。

店主の石井英行さんは、日本酒好きが高じて、2007年12月にこの店をオープンした。コンセプトは、「酒好きによる、酒好きのためのお店」。それだけに、日本酒の銘柄と肴は、心にくいほど酒呑みのツボを押さえている。カウンターの液晶ディスプレイでも、酒蔵の映像などが映し出されている有様だ。
石井さんのほかには男性スタッフが1人、日によってアルバイトの女性が加わることもある。

この店では、日本酒をグラス(120ml)と1合(180ml)の2通りのサイズで注文できる。価格は、120mlが600~1,200円、1合が850円~2,350円。別格のものを除けば、普通の居酒屋よりちょっと高い程度で十分飲める。

店ではホームページとブログを公開しており、日本酒の銘柄はホームページに書かれている。ただし、売れ具合によって随時おいしそうなお酒を補充しているため、ブログの「今週入荷したお酒」で確認するのが確実だ。

カウンターに座ると、「きき酒セット」が注文できる。(テーブル席では注文不可)店にある銘柄から、好きな3種類を選んで、60mlずつのグラスで飲めるセットだ。好みの味などを石井さんに伝えれば、それに沿った3銘柄を選んでもらうことも可能。セットには、銘柄や特定名称が記されたカードを添えてくれる。
選んだ銘柄によって価格は変動するが、自分は「百楽門」雄町純米大吟醸、「月山」改良雄町純米吟醸、「澤屋まつもと」愛山純米というセットを頼んで、1,400円だった。

この日は、ほかに天吹・ひやおろし(120mi・650円)、瀧自慢・純米秋あがり(同700円)、(同800円)、 雅山流・影の伝説V(同950円)などをいただいた。生ビールはヱビス(680円)がある。

料理メニューもホームページの「お料理」に掲載されているが、ここで「詳しくは店頭にて」とされている、旬の日替わりメニューが見過ごせない。自分は、秋刀魚のお造り肝醤油和え(580円)、ポテトサラダ(680円)、鮎の燻製(580円)…などを頼んだ。この店は各燻製料理が自慢なので、1つは注文したい。しっかりした造りの純米酒、特に生もと系のお酒と合わせると美味しそうだ。
なお、お通しには1口ずつの前菜3種盛り(680円)が出される。

もうひとつ、特筆すべきはトイレ。清潔なトイレというのはいい店に共通しているが、こちらのトイレは男性店主の店とは思えないくらい化粧品類が充実している。(写真参照)これには、女性客もちょっと意表を突かれるのではないだろうか?

狭い店にも関わらず相席がないため、2人ずつの客でも6組で満席になる。予約状況は店のブログに掲載されているが、できるだけ電話してから出掛けた方がいいだろう。

→旬の魚に旨酒尽くし いし井 (※予約状況や臨時入荷品は「ブログ」を参照)
http://umazake0141.com/