最近の若者は、お酒を飲まなくなったと言われている。車にも恋愛にも消極的な「草食系男子」は、お酒にも興味が薄いようだ。
少し前に、あっきさんがブログで日本酒消費の低迷について書かれていたので、この機会に自分もちょっとだけこの問題に触れておこうと思う。

日本酒の消費量が減ってきたのは、最近の話ではない。最も飲まれていたのは70年代前半で、1973年には全国で10億升近い日本酒が消費されていた。単純に当時の成人人口で割ると、1人当たり年13.2升。すべての大人が毎月1升以上は清酒を飲んでいた計算になる。

それ以降、消費はゆるやかな下降線をたどり、2008年時点で1973年の約36%にまで落ち込んでいる。人口は逆に増えているため、消費量を成人1人当たりに換算すると、年3.4升にしかならない。ピーク時の1/4近い消費量では、蔵も激減するはずだ。

国税庁のデータによると、清酒の酒造免許を持つ業者は1970年に3,533蔵あった。それが2007年度には1,845蔵と、半分近くまで減少しているのだ。免許を持っているだけで稼動していない蔵や、他の蔵に製造を委託している蔵もあるため、稼動実数は既に1,500蔵を割っているという推計もある。

ワインと比べるのは酷かもしれないが、フランスのワイン生産業者数は約42,000軒だ。(2003年データ
ワインは世界が市場ということが大きいが、フランス国民自身、1人当たりワイン消費量が世界一という飲みっぷりなのだ。たとえ普段は安いワインばかりという庶民でも、フランス人はワインの素晴らしさを良く知っているし、自国のワインに誇りを持っている。

ひるがえって日本を考えてみると、日本酒の消費量が減り続けている最大の原因は「美味しい日本酒の存在があまりにも知られていない」ことにあるのではないだろうか。

「日本酒は苦手」「悪酔いする」といった意見は、誰もがよく耳にする。昨今の不景気では無理もないかもしれないが、飲み会では「飲み放題」がすっかり定着し、安物の日本酒しか知らない若者が増産されている気がする。
一概に安い日本酒を否定はしないが、本物の日本酒は素晴らしく旨いことも、しっかり伝えていかなくてはならないだろう。

あるソムリエが、「生ガキには、やっぱりシャブリが合いますか?」と聞かれて、「僕なら日本酒を合わせるけどね」と答えたという話を聞いたことがある。少なくとも和食に合わせるなら、日本酒の相性はやはり抜群だ。

日常的に接する機会がありながら、日本酒の本当の魅力を知らない人が、あまりにも多い。
だが、高い志を持った蔵や酒販店・飲食店が存在していることも良く知っているし、そうした人たちの努力は、少しずつでも確実に実を結ぶものと信じている。

1973年から35年間、下降線をたどっている日本酒消費量も、いつか必ず上向きに転じるはずだ。日本の人口推移がマイナスに転じた現在、生易しいことではないのは承知しているが、いつか必ず来るだろうその日を、美味い酒でも飲みながら楽しみに待つことにしよう。