早いもので、もう新年を迎える。
今年も、恒例の「今年残念だった店」の話題で締めることにしたい。

例年のように、訪れた店で紹介できなかった店は今年もたくさんある。その中で、今回は八重洲「水喜」を挙げたい。
この店は、川崎や築地の魚市場で仲卸をしている(株)水祥の直営店。従って、当然魚が売りだ。

場所は、東京駅の八重洲地下街の16出口(神田寄り)から出てすぐと、すこぶる便利。地下の店だが、内装もちょっとオシャレで、女性にも受けそう。日本酒や焼酎の品揃えも、常時80種以上と豊富だ。
メニューでは一見安めに見える価格だが、1杯の量がグラスで100mlくらいなので、実際は少し割高。立地を考えればやむを得ない面もあるし、純米酒中心の豊富なカップ酒(840円均一)を選ぶ手もあるので、この点は大目に見たいと思う。

お燗をつけてもらえる日本酒が1~2種類に限られているが、そういう店は珍しくないので、これも許容範囲。問題だったのは、メニューに黒龍の「九頭竜」がありながら、これをお燗にできないことだ。

九頭竜」 は、黒龍酒造が最高の燗酒を目指して造り上げた吟醸酒だ。通常の吟醸酒は冷やで飲んだ方が美味しいが、燗上がりする吟醸酒もある。特に「九頭竜」の場合、お燗以外では提供しないという店も珍しくないのに、ここではお燗にできない…!

もしかすると、この店は酒屋が勧める日本酒を仕入れているだけで、スタッフは日本酒を知らないのではないだろうか?せっかく旨い酒をたくさん揃えていても、適した提供の仕方を知らないのでは魅力も半減だ。
燗酒に関心のない人にとっては、どうでもいいことかもしれないが、自分の売っている商品に対してしっかりした知識を持たないのなら、せめて価格を格安にするくらいの謙虚さがあるべきだと思う。

→ぐるなび「水喜」
http://r.gnavi.co.jp/a480300/

お燗つながりでもう1店、本来の意味での残念な店を挙げたい。
自分が密かに東京三大燗付け名人の1人に挙げていた今悟さんの店「善知鳥(うとう)」が、26日(土)の営業をもって閉店した。「善知鳥」は、店主の出身である青森を象徴する鳥の名であると同時に、あの「田酒」の蔵が醸す大吟醸酒の銘柄でもある。

建築設計士から転職して99年に店を開いた今さんは、その燗付けの見事さでたちまち業界にその名を知られることになった。日本酒専門居酒屋という的を絞った営業スタイルながら、酒の旨さを最大限に引き出す腕に魅せられた客が、夜ごと阿佐ヶ谷に集ったものだ。その技術は、グルメ雑誌などで紹介されることもしばしば。閉店の理由は定かではないが、本当に残念だ。
新しい店をもう少し都心寄りにオープンしてくれることを、2010年の年頭に願いたい!

→善知鳥
http://utou.sblo.jp/