フロアごとに異なる飲食店が入居している「飲食店ビル」は、繁華街でよく見かける。昔は、そうしたビルを1階から順に全て攻めてみるというバカな真似をしたものだ。ブルース・リーの映画になぞらえて、これを“死亡遊戯”などと称していた。(“死亡”するのは財布と肝臓だけど…。

新宿西口に、地下1階から3階まで異なる飲み屋が入っている小さなビル「第1宝徳ビル」がある。フロアごとの4つの店は、どの店もそれぞれキャラクターがあって面白い。今回は、2階にある居酒屋「稲穂」を中心に、4店まとめて駆け足でご紹介しよう。

場所は、新宿西口の小田急ハルクの裏手。「ぼるが」の4軒先と言えば、年配の飲んべえなら分かる人も多いだろう。駅前からだと、小田急ハルク(ビックカメラ)とユニクロの交差点を左に入って、100m程歩いた左側だ。

1階は、「まる徳」という立ち飲み屋になっている。立ち飲みとは言え、地酒が18種類。値段は300~450円だ。ビールはアサヒスーパードライのスタイニーボトル(350円)。つまみは15種ほどあり、もちろん格安だ。ただし、1皿の量は少なめ。上階の店を訪れる際の待ち合わせに最適だし、駅から近い点も便利だ。

さて、その左側の通路から2階に上がると、郷土料理と地酒のお店「稲穂」がある。年季の入った小料理屋風の居酒屋で、年配のご夫婦で切り盛りされている。広さは、カウンターに8席ほどと、4人用のテーブルが2卓。

こちらは、38種類の地酒が470~680円で飲める。定番銘柄が多いが、美味しい日本酒を安く飲めるのは嬉しい。銘柄は、470円で本醸造の男山、一の蔵、津軽じょっぱり、鬼ころし。500円で立山・本醸造、梅錦・吟醸、北の誉・純米吟醸。530円は八海山・本醸造。550円が天狗舞の本醸造と、あとはすべて純米で吉田蔵、大七・きもと、奥播磨、鷹勇・きもと、庭の鶯、正雪・吟醸、扶桑鶴。580円が墨廼江と、刈穂・きもと。600円が、菊姫、黒牛・原酒、黒龍・吟醸。
630円が、巻機・純米吟醸、神亀。650円が、出羽桜・吟醸、酔鯨・純米吟醸、明鏡止水・純米吟醸、美丈夫・純米吟醸。680円が、日本響・純米吟醸、〆張鶴・純、輝ら星の如く・純米吟醸、初亀・吟醸…といった品揃えだ。

つまみは、刺身、焼鳥、おでん、鍋、珍味…などバラエティ豊か。串みそカツ(520円)、栃尾揚焼(580円)、自家製さつま揚(630円)、なめろう(630円)、さんが焼(630円)、キムチ焼きソバ(630円)、ゴーヤーチャンプルー(630円)…など、郷土料理といっても特定の地方ではなく、全国各地の郷土料理をご主人がアレンジして提供しているところがユニークだ。その日の入荷状況による日替わりメニューも多数(黒板に書かれている)。手頃な価格の割に、どれもけっこうイケルのだ。

一方、地下にあるのは焼酎や「(かめ)」。狭い店内ながら、270種類もの焼酎を揃えているらしい。テーブルもあるが、やはりカウンターがメインの店だ。カウンターの上には、焼酎の入った甕がいくつか並べられている。料理は居酒屋の定番メニューが多いものの、どれも悪くない。ただ、日本酒はほとんど置いていないので、こちらは焼酎好きな人限定になりそうだ。

3階は、「BAR ARGYLL( アーガイル)」。カウンター6席、4人テーブル2卓、2人テーブル1卓と、ここも小さいながら、オーセンティックな良質のBARだ。
モルトウィスキー、スピリッツ、シェリー、ワイン…と、お酒の品揃えも厳選されており、スタッフも洋酒全般に詳しい。神楽坂の「風雅」にもあったガージェリービールがここでも飲める。
料理も、モルトウィスキーに合うイギリスっぽいメニューがちらほら。ハギスなどというスコットランドの伝統料理(羊の内臓をその胃袋に詰めて茹でたもの)は、あまり出会えるものではない。

ARGYLLではシガーも嗜めるのだが、これは賛否両論ありそうだ。4店はどれも狭い店なので、愛煙家と嫌煙家が隣り合わせてしまうと、少々キツイ面がある。それさえ除けば、どれもそれぞれに魅力ある店なので、好みの合いそうなフロアからぜひ攻めてみてほしい!

→グルメGyaO/郷土料理 稲穂
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