神楽坂は、隠れ家が密集して出来上がっているような街だ。面白い店が多いことで知られる本多横丁にも、隠れ家が多い。その1つに、ちょっとユニークなビアバーがある。

場所は、飯田橋駅から早稲田通りを上り、中華「五十番」を右折して、本多横丁を約150mほど歩いた右側2階。と言っても、これだけでは見つからないこと必至だ。なんせ、目印は階段の下に吊り下げられたランプだけ。蕎麦屋「まろうど」の向かいなので、注意して赤いランプを見つけてほしい。

階段の上に2軒の店があるが、横丁に面している「BITTER」がそれだ。写真にある木製の扉のみで、中はうかがえない。フリーの客は来るなと言わんばかりの店構えだ。

中に入ると、まず正面に三角形の中型テーブルがある。一応、椅子が4脚並べられているが、立ち飲みなら6~8人で使えるだろう。右側には、奥に向かって8席のカウンター。オリジナルのスツールは、背もたれ付きで座りやすい。
入口横のドラフト・サーバーの前にも、立ち飲みで2人くらいは大丈夫。窓はほとんど塞がれているが、左側の窓際にも立ち飲み用の小さなテーブル(2人用)が2卓置かれている。

カウンターもテーブルも組板で造られており、壁にはコースターなどの小物があちこちに置かれている。鉄のフードで覆われた照明も程良い暗さで、バーボンがおいしいショットバーといった雰囲気だ。(実際、バーボンもある。)
しかし、棚にはずらりと様々なブランドのビアグラスが並べられている。

どちらかと言えば男っぽい造りのこの店を、姉妹2人で切り盛りしているところに意表を突かれる。
店主の西條真弓さんは、大学時代にベルギービールに魅せられ、名店「ブラッセルズ」へ入った。厨房を経験後、23歳の若さで神楽坂店の店長に抜擢。10年に及ぶ修行の後、満を持して妹の照子さんと「BITTER」を開店したのが、2006年8月10日だ。

ドリンクメニューの表面はすべてベルギービール。裏面はドイツ、アイルランド、日本のビールになっており、全部でビールは65種類。すべてに味わいの傾向を表すシールが貼られていて、分かりやすい。ほかに、週替わりの生ビールも3種類ほどある。
価格は1杯800円~2,600円までと幅広いが、多くは1,000~1,300円だ。
日本のビールは、舞浜イクスピアリの地ビール「ハーヴェストムーン」3タイプのみ(各1,000円)!

ほかに、20種ほどのウィスキーや、カルバドス、ジン、ラムなどもあるのだが、いずれも目を見張るボトルが混じっていたりして、なかなか侮れない。(イチローズモルトや、モカンボ・アートエディション20年、レジェンド・オブ・キューバン・ラム、…なぜか泡盛の「カリー春雨」なども並んでいた。)
値段を確認してみたところ、これらは1杯700円~1,600円のようだ。

一応ワインも何本か置いてあるが、ハーフボトルで5,000円前後。かなり高品質な銘柄だったので、質を考えれば相当お得だが、もっぱら常連用ということだった。日本酒はさすがに置いていない。

料理は20種類少々だが、ビールに合いそうなものが色々と揃っている。500~800円くらいが中心なので、ビールより安め。ホームページに掲載されている定番メニュー以外に、こちらも日替わりがある。

3人以上で使えるテーブルが1つしかないこともあって、客は基本的に1~2人。おまけに、この立地だから常連の比率はかなり高い。予約もほとんどできない。それらを差し引いても、厳選された美味しい洋酒と、ジーンズのように馴染める隠れ家の味は捨てがたい。
おいしいビールが飲みたい夜、間違いなく行きたくなる1軒。

→ビアバーBITTER
http://www.beerbar-bitter.com/