新宿・荒木町というと馴染みのない人も多いだろうが、昔から通好みの店が多いことで知られている。狭くて入り組んだ路地が特徴的で、大正から昭和中期にかけて花街として栄えた「車力門通り」や「杉大門通り」を中心に、今も個性的な店がいくつも点在する。
そんな街のニューフェイスが、車力門通りにある日本酒BAR「オール・ザット・ジャズ」だ。

場所は、四谷3丁目駅を4番出口から出て、新宿通りを四谷方面へ向かい、みずほ銀行・四谷支店の角を入って道なりに進む。外苑東通りに抜ける少し手前の左側にある、氷屋「門松氷室」の2階だ。

開店は2010年2月。店名は、あれもこれもという意味のスラングだそうだが、店舗は名前に似合わぬ和風居酒屋だ。入口の暖簾には、右隅に小さく店名が染め抜かれていて、独特の味がある。

店内は明るく、小じんまりとしている。入って左側にカギ型のカウンターがあり、そこに6席、右側には2~4人用のテーブルが3卓ほどある。カウンターの中には、家庭用の冷蔵庫があったりして、まるでどこかのお宅にお邪魔したかのようだ。

カウンターの中でもっぱら調理を担当している生方義浩さんは、常に浴衣風の和服にたすき掛けといういでたち。ほどよく恰幅がいいため、なかなか似合っている。「気は優しくて力持ち」といった印象で、篠沢秀夫教授の息子と言われた信じてしまいそうな容貌だ。(知らない…?
フロアと調理場を行き来する奥様は普通の服装。時間によっては、もう1人女性スタッフが加わるらしい。

メニューの裏表には、60種類ほどの日本酒が書かれているが、その全てが常時あるわけではない。在庫のあるものは丸いシールで示されていて、自分が訪ねた日は27種類ほどが在庫だった。
生方さんは「きき酒師」資格を持ち、全国の蔵元を訪ねて厳選した品々を直送してもらっている。価格は120mlで380~780円。

銘柄は、初雪盃・本醸造(480円)、分福・純米(480円)、宮の舞・純米吟醸(480円)、而今・特別純米(580円)、森の翠・大吟醸(これのみ60ml・680円)、…など、レアな銘柄が多い。

刺身などの板前料理はないが、定番の酒の肴は280~580円と安い。干しほたるいか(280円)、ポテトサラダ(380円)、じんだご醤油干し(380円)、イルカのタレ(480円)、ねこまんま(日替わり・380~480円)、釜揚げしらす丼(480円)、ハムステーキ(580円)…など、日本酒とよく合う珍味や干物を揃えている。たまに高価な魚が入荷することもあるようだ。

アットホームで価格も安いため、晩酌代わりに気軽に寄れるのが嬉しい。近くには「占いBAR」や「坊主バー(本物のお坊さんがシェーカーを振っている)」といったユニークな店も多く、店で尋ねれば親切に教えてくれる。
面倒見のいい地元密着系で、近くなら通いたくなる雰囲気を持つ。この界隈に魅力的な店がまた1つ加わった。

→オール・ザット・ジャズ
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