「越後屋」と言っても、昔の三越のことではなく、新橋界隈では干物ランチで人気の高い、レトロ調の居酒屋のチェーンだ。

1号店は2005年、新橋の西口商店街にオープンした「炭火焼干物食堂・越後屋」。その店先には、炭火焼の煙がもうもうと立ちこめ、かなり通行人の目を引いた。
干物の意外な美味しさと手頃な価格が受け、たちまち近界隈の人気店となり、2007年5月には浜松町に「越後屋 権兵衛」を、2008年5月には東銀座に「越後屋 八十吉」を、同年8月には四谷に「越後屋 五郎兵衛」を、更に新橋の内幸町寄りに「越後屋 玄白」を…と、次々に姉妹店をオープン。その最新の店が、汐留で2009年6月29日に開店した「越後屋 甚内」だ。

場所は、新橋駅の汐留口を出て200mほど直進した突き当たりにある、カレッタ汐留の地下2階。
店は、ちょっと懐かしさを感じるような和風で、照明は落ち着く程度に抑えられている。厨房部分が家屋、客席フロアがを模した、独特の内装だ。厨房には屋根が縁取られ、窓から焼き場が覗ける。店の周囲は垣根が囲み、BGMは田植え唄のような民謡と、虫の音という凝りようだ。

フロアには、4人テーブルが10卓に、2人テーブルが8卓ほどある。店舗面積は約40坪。
さすがにビルの地下街なので、本店のような煙はまったくない

午前11時~午後11時まで通しで営業しており、昼間のランチはやはり人気がある。入口で注文と会計を済ませ、伝票代わりに番号が振られた将棋の駒を渡されるという、越後屋共通の方式だ。あじの開き定食(680円)やシマホッケ定食(880円)、のどぐろの開き定食(1,800円)といった魚の干物が中心だが、美味しくて種類も豊富なのがポイントだろう。どれも外はパリっと、内側はジューシーに焼きあがっていて、干物の美味しさを感じさせてくれる。

種類は少ないが、鶏や豚もある。鶏肉は鳥取の「大山鶏」、豚肉は岩手の「岩中豚」といういずれもブランド肉を使用。「岩中豚」は岩手中央畜産のSPF豚(特定の病原菌の汚染がない豚)で、栄養価が高い上、柔らかくてとても美味しい。肩ロース肉定食では厚さ1cm程のステーキ状で出て来て、韓国の焼肉屋よろしくハサミで切りながら食べる。

夜は、魚や野菜、肉の炭火焼や一品料理など、約80種類の料理と美味しい地酒が売り物。日本酒は半合程度のグラス売りだが、一律500円という明朗会計だ。お通し代は250円。

「越後屋」各店は、スタイルこそ共通しているものの、品揃えが店によって多少異なっている。店名がそれぞれ違うのも、そんな個性を表現しているのだろう。この「甚内」では、店長の好みで「鶴齢」が常時5種類ほど揃えてある。(純米吟醸・五百万石、特別純米・越淡麗、特別純米・山田錦、特別純米・美山錦、純米・山田錦)
「越淡麗」という米は聞き慣れないと思うが、新潟県で大吟醸酒用の酒米として2004年に開発された品種だ。五百万石を父に、山田錦を母に持つというサラブレットだけあって、とても美味しい。自分はこの5種類の中で最も美味しく感じた。

ほかには、陸奥八仙黄金澤・山廃純米、阿櫻・原酒生詰め・全量亀の尾、獺祭・純米大吟醸48しぼりたて生、七田・純米大吟醸無濾過生、仙禽・純米吟醸中取り無濾過原酒・ひとごこち、羽根屋・特別純米、富久長・特別純米・八反草、来福・純米吟醸袋絞り生原酒・愛山、小左衛門・純米吟醸・瑞浪米(=瑞浪産の山田錦)、月の井・無濾過生原酒・五百万石60%、初緑・特別純米無濾過生原酒、開運・無濾過純米生、奥播磨・純米、浪の音・純米…などがある。かなり通好みのラインナップと言えそうだ。

毎月第4火曜日には、「日本酒ナイト(3,000円)」「鶴齢ナイト(2,000円)」といったイベントも開催している。これは対象となる数種類のお酒が時間無制限で飲み放題になるというもの。4杯(2合弱)~6杯(3合弱)でモトが取れる計算だから、飲兵衛にはたまらない企画かも!

→カレッタ汐留/炭火焼干物食堂 越後屋甚内
http://www.caretta.jp/shop/shops/b2f-jin-nai.html