自宅からほど近い伊奈町に、旨い日本酒が飲める蕎麦屋があると聞いて、足を延ばしてみた。
ニューシャトル・伊奈中央駅を降り、高架下を横切る道を左に進むと、「伊奈中央駅入口」交差点の右手前にあるコンクリート打ちっぱなしの店が、「蕎麦きり さいとう」だ。

外観も内装も、一見カフェかレストランのよう。中に入るとすぐ目の前に、8人掛けのテーブルが、右手に4人用のテーブルがある。正面奥が厨房になっており、蕎麦を打つスペースはガラス張り。横には石臼も置かれている。
左側は小上がりになっていて、4人用の座卓が2卓。向かいの棚には、蕎麦や日本酒の書籍類と、色紙3枚(漫画『そばもん』の山本おさむ氏、『夏子の酒』『蔵人』の尾瀬あきら氏、造り酒屋の四男でもある俳優の笹野高史氏)が飾られている。
フロアでは、女性と若い男性がサービスを担当していた。

この店は、元々「純手打そば一茶」として、もっと蓮田寄りの場所で23年間も営業していたそうだ。それを二代目の齋藤健司さんが継いで、2004年7月に現在の場所に移転した。
以前の店名からは、砂場、藪、更科に次ぐ蕎麦屋の老舗として名高い一茶庵系の店と推測されるが、確かめたわけではない。
蕎麦は石臼で自家製粉し、そば粉10に対して小麦粉2を混ぜた「外二」が中心だ。小麦粉を加えずに水だけで打った十割蕎麦も用意されている。

日本酒は純米酒のみで、すべて1合650円。定番は、辨天娘(べんてんむすめ)、神亀「ひこ孫」3年熟成、生もとのどぶ、小笹屋竹鶴・純米原酒というヘビー級の4銘柄。これに月替わりの「今月のお酒」が加わり、8月は旭菊の「綾花」となっている。
しっかりとした手応えがあって燗上りする酒の代表格ばかりで、お燗で飲んでほしいという齋藤さんの意図がありあり。「黒龍」や「十四代」といったすっきり系の酒が飲みたい人は、ほかの店に行ってくれという硬骨漢だ。冷やで頼んでも、日本酒は片口と杯(さかずき)で提供される。

蕎麦メニューはホームページで確認できるが、かけそば、せいろ(各650円)から穴子天付かけ(1,400円)まで16種類ほどがあり、全てのメニューは、100円増しで十割蕎麦にできる。
丼物は、天丼(800円)と上天丼(1,300円)の2種類、ほかに焼き味噌(300円)、鶏皮の味噌煮込み(600円)、玉子焼き(700円)、合鴨ロース(750円)、穴子の白焼き(800円)…といったおつまみが11種類ある。

自分は特に蕎麦っ喰いというわけではないが、この値段なら充分に納得できる美味しさだ。もり汁はかなり辛め。蕎麦は意外とボリュームがあるので、おつまみを幾つもつまんでしまうと、種物の蕎麦はきつくなるかもしれない。ランチはご飯物とのセットが4種類(900円~1,100円)ある。

店では2~3ヶ月に1回のペースで「十割蕎麦と純米酒を楽しむ会」を催しており、これがかなり魅力的だ(会費5,000円)。
第1回(09/7/20)のゲストは、「睡龍」久保本家の加藤克則杜氏と、大宮の純米酒専門店・池田屋酒店の池上徹氏。
第2回(09/10/18)のゲストは、「辨天娘」太田酒造場の太田義人社長と、浦和在住の漫画家・尾瀬あきら氏。
前回(10/7/10)のゲストは、神亀酒造の名物専務・小川原良征氏…という豪華さ。日本酒の仕込み時期である冬場はゲストなしだが、地酒ファンには気になるイベントだ。

→蕎麦きり さいとう
http://www.soba-kiri.com/