最近の読者はご存じないかもしれないが、このブログではごくたまにお酒の店以外もご紹介している。多くはカレーかハヤシライスの店なのだが、これは自分が「お酒を飲んだ翌日に食べたくなる料理」だという理由からだ。
ということで、お酒目当ての方には恐縮だが、今日は久々にハヤシライスの店をとり上げたい。

これまで、京橋のモルチェDozen Roses、銀座の煉瓦亭資生堂パーラー、六本木の東京ハヤシライス倶楽部などをご紹介して来たが、今回はハヤシライスの元祖とも言われる「丸善」だ。

一説に、ハヤシライスの考案者と言われているのが、「丸善」の創業者である早矢仕有的(はやし・ゆうてき)だが、実は当の丸善もはっきりと認めていない。
早矢仕有的は元は医師だったが、福沢諭吉の門下生として英語を学び、西洋の医学書を翻訳したりしていた人物だ。やがて横浜に書店「丸屋商社」を開業して、洋書の輸入販売をしているうちに事業が拡大し、そちらが本業になってしまった。これが現在の「丸善」になる。

「丸善」は1952年に、戦災で焼けた日本橋の本社屋を新築し、2年後に屋上でレストランを開業した。そこで昔、有的が発案して栄養失調の患者や周囲の人たちに振舞っていた料理を、「早矢仕ライス」と名付けて提供したのが、そもそもの発祥と言われている。
一方、有的が通っていた神田の洋食屋「三河屋」で出していた「ハッシュ・ビーフ」が人気で、それをライスと合わせて出しただけという主張もある。「発祥の店」については、ほかにもいくつかの説があるようだ。

真偽のほどは定かではないが、いずれにせよ丸善では当時からずっと「早矢仕ライス」を看板料理にしている。
本店は2004年9月14日、再開発のため丸の内「OAZO」へ移転し、日本橋の社屋はその後、2007年3月9日に「日本橋店」として生まれ変わった
現在、「丸善」の丸の内本店では、4階の「M&C Cafe」で「早矢仕ライス」が食べられる。厳密には「丸善」の経営ではないため、味やサービスがどの程度継承されているのか不明だが、とりあえずは「元祖」に敬意を表して食べてみた。

場所は、東京駅の丸の内駅前北側の線路沿い。OAZOに入っている「丸善」のエスカレーターを4階まで上がると、正面に「M&C Cafe」がある。
もちろん、メニューはハヤシライス以外にも色々あるのだが、やはりこれが一番人気。現在、スタンダードな「早矢仕ライス」(1,000円)以外に、「早矢仕andカレー二色盛り」( 1,150円 )、「早矢仕オムライス」(1,200円)、「サーロインステーキ早矢仕ライス」(1,800円 )…など、いくつかのバリエーションがある。

自分が食べてみたのは、「カマンベールチーズ早矢仕ライス」(1,300円)。「プレミアム早矢士ライス」というのもあるが、具の量が多いだけという噂を聞いたので、二の足を踏んでしまった…
ラグビーボール型のご飯にデミグラスソース、それに白カビ部分も付いたものと、ソフトな内側部分だけのカマンベールチーズ2切れが添えられていた。

ハヤシライス自体は、値段相応の美味しさがある。やや甘酸っぱいソースは万人受けしそうで、ハヤシライスの王道といった感じ。
軽すぎず重すぎずというボリューム感や、熱々でないところも自分には有り難かった。女性や年配のお客も多いところに配慮したのかもしれないが、逆に食欲旺盛な男性などには物足りないかもしれない。
付け合わせもないシンプルな一皿だが、正直言ってカマンベールチーズとの相性は今ひとつ。「ボンディ」のカレーのように、ソースのコクを増すためのチーズかと期待したのだが、そこまで一体化したものではなかった。これなら野菜の早矢仕ライスの方が自分の好みったかも…

店はキレイだし、書店の一角ということもあって落ち着いた雰囲気だ。窓際の席だと、目の前が線路と八重洲ビル群という眺めもなかなか。午後のひと時をゆったり過ごすには、おすすめの店と言えるだろう。

→ぐるなび/M&C Cafe 丸の内店
http://r.gnavi.co.jp/a186425/